2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K02061
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
魯 恩碩 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (70527142)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 申命記主義的歴史書 / 列王記 / 聖書文献学 / 聖書考古学 / 聖書社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究成果を踏まえ、申命記主義的歴史書の研究における世界的な学者たちと共著で一冊の本を出版することを準備しており、現在最終編集を行っている。2019年上半期に出版することを目指している。この書物のタイトルは、「Story and History: The Kings of Israel and Judah in Context」であり、世界的な学術出版社であるMohr Siebeck社のForschungen zum Alten Testamentというシリーズを通して出版される予定である。この共著の出版は、「申命記主義的文学の歴史性と形成過程の実証的研究」という学問的営みが果たした一つの重要な成果である。この本の中で共著者たちは申命記主義的文学の歴史性と形成過程に関する学問的問いを一貫して追求しており、その問いに答えるために聖書考古学、聖書文献学、聖書社会学、古典学などからのアプローチを学際的に駆使し、これまでになかった数々の斬新な仮説を提示している。これらの仮説はこれからの聖書学に大きな刺激を与えるに違いないであろう。申命記主義的文学の歴史性と形成過程を学際的に、そして実証的に研究するための新しい世界基準を創り上げることに貢献できる書物となることを期待している。
一部の研究成果をまとめ、2018年7月にフィンランドのヘルシンキで開催されたSBL(Society of Biblical Literature) International Meetingで“Status Inconsistency of Judean Communities in the Persian and Hellenistic Periods”というタイトルで研究発表を行った。その内容をさらに深め、2018年11月にアメリカのデンバーで開催されたSBL Annual Meetingで研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019度は本研究課題の最終年度であるため、今までの研究成果を整理して纏め上げることに力を入れる。これまで最新研究動向を分析しながら、理論構築のための研究を通して独自的な仮説を提示してきた。そして、申命記主義的歴史書における歴史性と形成過程を学際的に、実証的に研究することによって、申命記主義的歴史書に対する独自の観点や理論を持つことができるようになり、それを土台としてさらなる研究を進めてきた。2018年と2017年に出版された2冊の単著がその道のりを表している。なお、関連分野の研究者との意見交換およびネットワークにも力を注いできた。その結果、今回は彼らと共著で本研究課題の問いに直結する本を出版することに至った。したがって、現在までの進捗状況については、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年8月にはIOSOT(International Organization for the Study of the Old Testament) Conferenceでも研究発表が決まっており、現在その研究発表のために準備を進めている。なお、2冊の単著や1冊の共著の出版を経て、さらに得られた研究成果を今年度の末頃、あるいは来年度の始まり頃に発信することを目指し準備を進めている。それは世界旧約学界に学問的に貢献出来る英文の論文を執筆することであり、それを屈指の学術誌を通して出版することである。その出版をもって本研究プロジェクトの研究は完結することになる。
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