2020 Fiscal Year Research-status Report
ロシアにおける教育コミュニティの形成と宗教―宗教文化教育をとりまく環境
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15K02062
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
井上 まどか 清泉女子大学, 文学部, 准教授 (70468619)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 比較教育学 / 教育社会学 / ロシア / 宗教教育 / 体制転換後 / ソ連解体 / 宗教 / 世俗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、COVID-19の世界的流行により、予定していた現地調査(カザンでの調査)を実施することは叶わなかった。 他方、学際的な学術交流を国内を中心に進め、多くの知見を得るとともに、成果を世間に問うことができた。例えば、教育学・比較教育学分野の研究者とともに研究成果を公表した(教育社会学を専門とする木之下健一氏との共著論文「ロシアにおける宗教教育の導入と今後の課題」、以下に所収:『現代ロシアの教育改革ーー伝統と革新の〈光〉を求めて』ロシア・ソビエト教育研究会 嶺井明子、岩﨑正吾、澤野由紀子、タスタンベコワ, クアニシ 編著、東信堂、2021年)。 また2020年度刊行の拙著論文「国家の世俗性のゆくえ─ロシアの宗教教育を事例として」(『ヨーロッパの世俗と宗教』伊達聖伸編著、勁草書房、2020年所収)に対して比較教育学・ベルギーにおける宗教教育を専門とする見原礼子氏から同書内コラムで比較の観点から指摘を受けることができたのは本研究課題の今後の遂行においても大変参考になった。 本研究課題に関連するものとして、「ロシア連邦における政治と宗教のいま」(『ユーラシア研究』62号、2020年)を刊行した。一般読者を意識した研究成果であるが、執筆過程において本研究課題に関連するものの、これまで考察の対象としてはしてこなかった新たな課題を発見することができた。これもまた他分野・他領域の研究者の指摘が大きく参考となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査はCOVID-19の世界的流行により叶わなかったが、学際的な学術交流をすすめることができ、とりわけ比較教育学や教育社会学のアプローチについてさらに知見を深めることができたことは本研究課題の遂行にとっては極めて重要なことであったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度もCOVID-19の世界的流行が収まらない場合は、現地調査を断念することも考えられる。ただ、オンラインを通じての国際交流や、本研究課題の遂行のために重要な学際的学術交流は進めることが可能である。2020年度の研究により、本研究課題の内容に深く関わりつつも、比較考察を必要とする新たな事例が発見されたため、2021年度は学際的学術交流をより深め、研究成果を問うていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19の世界的流行により、現地での調査が実施できなかったことが理由である。次年度には、資料代としての物品費のほか、現地調査費用(旅費、物品費、謝金等)に使用する予定である。
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[Book] ヨーロッパの世俗と宗教――近世から現代まで2020
Author(s)
伊達聖伸、小川公代、木村護郎クリストフ、内村俊太、江川純一、オリオン・クラウタウ、加藤久子、立田由紀恵、井上まどか、西脇靖洋、見原礼子、岡本亮輔、諸岡了介、増田一夫、白尾安紗美
Total Pages
viii + 306 + xxvi(12-139, 192-207)
Publisher
勁草書房