2021 Fiscal Year Research-status Report
ロシアにおける教育コミュニティの形成と宗教―宗教文化教育をとりまく環境
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15K02062
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
井上 まどか 清泉女子大学, 文学部, 准教授 (70468619)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 宗教文化教育 / ソ連 / 教育学 / 世俗倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまで収集してきた文献の読解・分析およびインタビュー記録(音声)の再検討を中心に行った。というのも、新型コロナの流行がまだ続いており、現地調査が難しかったためである。 文献の分析およびインタビュー記録の再検討により、おもに2つの成果があった。 ひとつめ:2000年代から2010年代の「宗教文化教育」の前史といえるものを明らかにする必要があると考え、ソ連時代における教育について考察を行った。この考察にあたっては、他分野、すなわち教育学や比較教育学を専門とする国内外の研究者との学術交流(研究会での討議)を通して学びを深めることができたと考える。この成果は、共著論文として『現代ロシアの教育改革:伝統と革新の〈光〉を求めて』(図書)に所収されている。 ふたつめ:2010年代の「宗教文化と世俗倫理の基礎」科目においては、ロシア連邦全体では「世俗倫理の基礎」の選択者が多いということに着目して、ロシア連邦における「世俗倫理」について考察・分析を行なった。「世俗倫理」をめぐる考察は、ひとつめの、ソ連時代の「宗教文化教育」のオルタナティブとも関連があることを確認した。この考察については、研究発表として成果を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度こそ現地調査を行ないたいと思っていたため、その予備調査を進めていた。他方、文献分析・インタビュー記録の再検討を進めていた。研究としては順調に進んでいるという手応えがあるが、研究成果の公表(論文等)という点では遅れてしまった。現地調査については、年度の早い段階で断念すべきであったかもしれない。結果として、予備調査も文献を中心とした分析も中途半端になり、論文としての公表にまで至らなかった研究成果がある。 成果の公表の遅れという点で「やや遅れている(Slightly Delayed)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査については、本研究課題がフィールドとする地域(ロシア)への渡航が、新型コロナの世界的流行に加え、2022年3月以降とりわけ難しくなったこともあり、実施しない方向で研究を進める必要がある。 収集してきた文献の分析やこれまでの現地でのインタビュー調査の再検討を行うとともに、場合によってはオンラインでのインタビューを行なうこととする。
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Causes of Carryover |
現地調査実施の可能性を探っていたが、新型コロナの流行と2022年2月24日以降の事態により、実施を断念せざるを得ず、次年度使用額が生じた。現地調査に代わる情報等の収集のために使用することを計画している。
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