2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Historical Study of Public Spaces in Kyoto From the 1920s to the 1950s
Project/Area Number |
15K02090
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
長妻 三佐雄 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (80399047)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 公共空間 / 感情移入 |
Outline of Annual Research Achievements |
1920年代から1950年前後にかけての京都における公共空間についての研究を行った。初年度は深田康算の美学思想を中心に検討した。とくに玉川大学出版部から復刊された『深田康算全集』第二巻所収の「感情移入美学に就いて」(『藝文』明治四十四年三月)や「感情の心理と美学」(『心理研究』大正元年九月)をはじめとする「感情移入」をめぐる言説について検討した。また、従来から研究対象としている「模倣」の役割について「新しい藝術観と古い藝術観」(『表現』大正十年十一月)を中心に考察し、深田の門下生たちに与えた影響について調べた。昭和五年に刊行された『深田康算全集』の編集に関わった門下生を中心に、その代表的な論文を調べ、深田の美学思想がどのように影響を与えたのかを検討した。深田の影響だけではなく、機械化をはじめとする新しい技術の登場を思想的にどのようにとらえていたのかを検討した。1940―1950年代の京都における公共空間にも戦前の哲学・美学思想が及ぼした影響についても調べた。とくに戦前と戦後の連続性について研究した。先行研究で比較的言及されてきた「新京都学派」の知識人だけではなく、京都学派の哲学者や歴史家たちの戦後の言説にも注目した。戦後の京都における公共空間は多様性に富んでおり、さまざまな立場の知識人が文化や芸術について自由闊達に語っている。「地域文化の拠点として」というタイトルで、2017年7月に研究会報告を行い、地域における公共空間の具体例について報告した。そのなかで、戦後京都における公共空間をめぐる問題点についても検討した。
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Research Products
(1 results)