2017 Fiscal Year Annual Research Report
Between Nature and Art-Study for Aesthethics of Natural Environment Based on Environmental Art-
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15K02102
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
伊東 多佳子 富山大学, 芸術文化学部, 准教授 (00300111)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境美学 / 環境芸術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は英米の環境芸術の実証研究に基づく新しい自然環境美学の構築の試みである。本研究で構築される自然環境美学は、西洋哲学の伝統において「自然」対「人工」(ないし「芸術」)の二項対立の図式で捉えられてきた3つの概念、「自然」、「人工」、「芸術」を定義し直し、同時に「自然」、「人工」、「芸術」の3つの領域を自由に行き交う英米の環境芸術作品の美学的な分析を通して、これら概念の境界と相互浸透もしくは相互侵犯の事態を精査し明らかにしながら、現代の複雑な自然の現実と乖離することのない新たな自然概念を提示し、最終的には自然の美的/倫理的な考察方法として構築される。 最終年度にあたる平成29年度には、研究の総まとめとして、とりわけ前年度までに実施した海外実地調査をふまえて、環境芸術の実証研究に基づく自然環境美学の考察を次の論文にまとめることに主眼を置いた。「革命の後、月曜の朝に誰がゴミを拾いに行くのか? ―ミアレ・レイダーマン・ユケレースの《ランディング》をめぐって―」『GEIBUN 012 富山大学芸術文化学部紀要第十二巻』 86~97頁、および、「環境芸術は自然に対する美的侮辱といえるのか―環境芸術をめぐる倫理的問題について―」『美学』美学会編第69巻第1号(252号)49~60頁(掲載予定)。なお、「環境芸術は自然に対する美的侮辱といえるのか―環境芸術をめぐる倫理的問題について―」は、10月に國學院大學で開催された第六十八回美学会全国大会で、本研究の成果として発表した「環境芸術は自然に対する美的侮辱か」に基づき加筆したものである。環境美学の最新の議論の動向を示しながら環境芸術をめぐる環境美学の新たな方向を示した本発表は相当の反響を呼び、環境美学の発展に一定の貢献をすることができた。 今後この研究成果をもとに環境芸術の実証研究に基づく自然環境美学研究をさらに発展させ、著書としてまとめたい。
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Research Products
(4 results)