2015 Fiscal Year Research-status Report
20世紀以降の器楽音楽と電子音響音楽における音色の理念と表現技法の研究
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15K02115
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
水野 みか子 名古屋市立大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (50295622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 音楽分析 / 音色解析 / 音色制作 / 電子音響音楽 / 器楽音楽 / オペラでの音響効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀、21世紀の器楽音楽と電子音響音楽における音色の理念と表現技法を研究する本課題において、平成27年度中には、音楽分析研究、作曲における音色プログラムの制作、作曲における上演効果研究、20世紀音楽に関する英独仏の音楽分析・理論やオーケストレーションの楽譜分析や出版された文献の研究などを行い研究の基礎固めをした。先行作品としてはS.シャリーノ、Ph.マヌリ、W.リーム、M .レヴィナスらの作品研究を行い、また、オペラにおける演出としての音響効果(サウンド演出)などについても研究を進めた。研究成果は、国際電子音響音楽研究学会2016(EMS2016、イギリス、シェフィールド)、電子音響音楽アジアネットワーク2016(EMSAN2016、岐阜県サラマンカホール)、日仏音楽交流シンポジウム(フランス、パリ)にて発表した。それぞれの発表の主題は、「柴田南雄におけるピッチ距離としての日本的音色言語」「電子音響音楽における遠隔性と複層的コミュニケーション」「1970年以前のGRMにおける日本の作曲家――フランス電子音響音楽のスタイルをいかに学び、日本固有の表現を獲得していったか」である。なお、 EMS2016での発表は同学会論文集に掲載されたほか、デンマークのSEISMOGRAPH誌でも取り上げられた。これらの研究成果を踏まえて、平成28年度にはソルボンヌ大学招聘研究員として3ケ月程度海外に滞在して、エレクトロニクスを含む新作オペラやインタラクティブ作品、電子音響音楽作品を技術面と美学との両面から調査する。また、ピエール・シェフェールの1940年以前の歴史的資料について現地調査を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献研究や楽譜分析、音響制作・解析という面での研究の基礎固めはおおむね計画どおりに進展した。シェフェールの資料に関して、IMECで保管され公開可能となっている一次資料を調査は平成27年度には行うことができなかったが、その理由は遺族との連絡がとれなかったということである。平成28年度には再度遺族との連絡を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
シェフェールの一次資料について引き続き調査を行う。平成28年度は、3ケ月程度海外に滞在するので、音色を作品の主要な課題としている現代音楽作品に数多く接する予定であり、各作品について音色レポートを作成する予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度は研究の基礎固めであり、文献研究や楽譜分析などを中心に行った。当該研究では外国文献や楽譜のほか、1940年以前の歴史的資料を参照する必要があるが、基礎固めを行った平成27年度には、海外での調査や資料集めよりも所属大学での研究実施を重視したため、入手できる資料に限界があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度にはフランスのソルボンヌ大学招聘研究員として研究を継続し、現地での資料収集や現場調査を中心的に行う。そのため、海外渡航費、ヨーロッパ内での移動費、資料調査を行う資格の取得費など、所属大学にあって必要となる経費以外が必要になる。この海外研究費用に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)