2016 Fiscal Year Research-status Report
20世紀以降の器楽音楽と電子音響音楽における音色の理念と表現技法の研究
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15K02115
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
水野 みか子 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 教授 (50295622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電子音響音楽 / 音色 / 音楽分析 / 上演概念 / シェフェール |
Outline of Annual Research Achievements |
4~6月の期間にパリ・ソルボンヌ大学招聘研究員としてパリに在住し、フランス国立図書館をはじめ関連研究期間にて研究を推進した。音楽学分野での国際共同研究期間であるIreMusのメンバーとして電子音響音楽全般に渡る研究・および研究交流組織運営に携わっている。パリ在住期間には、国立音響音楽研究所IRCAMでの脳精神科学のシンポジウムに出席したほか、ソルボンヌ大学での講演、シンポジウム、数カ所での演奏会・歌劇上演会などに出席し、現代の器楽音楽・電子音響音楽上演の技術的・美学的問題に取り組んだ。フランス国立図書館では、ピエール・シェフールの日記やメモ等の一次資料、および1930~60年代のjournal資料を調査し、ラジオの技術と番組制作、ラジオ芸術の構想と実践の実態などを明らかにした。若い演劇青年シェフェールが実験音楽の創始者になるまでの「音響・音色にまつわる経験」という脈絡で整理し、日本音楽学会、先端芸術音楽創作学会で成果を発表した。 フランスのスペクトル楽派を代表する作曲家のひとりジェラール・グリゼイの音色概念を明らかにする研究のうち、作品Vortex Temporum のスコア分析を行った。これについては平成29年度にまたがって継続的に分析・分析表示の研究をすすめている。 電子音響音楽作品のレストレーション研究のため、作品データの記録フォーマットについて研究を行った。IRCAMでのミクスト音楽作品の記録を参照し、日本電子音楽協会および先端芸術音楽創作学会で議論を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シェフェールの関連資料についてはフランスでの調査を終え、S.Emmersonとの比較を開始している。 ジェラール・グリゼイの音色概念を明らかにする研究のうち、作品Vortex Temporum のスコア分析を行い、分析・分析表示の研究をすすめている。 電子音響音楽作品のレストレーション研究のため、作品データの記録フォーマットについて日本電子音楽協会および先端芸術音楽創作学会で議論を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
20世紀後半の前衛作曲家たちが開拓した、<timbre><tone color><resonance><sound><space><Farben><Klang><ねいろ>等の概念とコンテキストを整理し、作曲家、理論家ごとの実践法・分析法を明らかにするとともに、それらを比較可能にする座標軸を設定する。平成29年度は本研究の最終年度にあたるため、研究者や作曲家ごとに統一化されていなかった音色概念を統体的にとらえる方向づけをして報告書を執筆する。国際学会EMS( Electroacoustic Music Studies)を日本で初めて開催し、その実行委員長として各国からの研究のとりまとめを行う。EMSの参加者は50名あまりを予定しており、平成29年度初頭時点で要旨が集まっている。
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Research Products
(5 results)