2015 Fiscal Year Research-status Report
近代日本における「群舞」の研究-楳茂都陸平を中心に-
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15K02128
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
桑原 和美 就実大学, 教育学部, 教授 (60341137)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 近代日本史 / 西洋受容 / 集団 / 舞踊譜 / 文化外交 / 国際化 / 近代舞踊 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の計画は、1)国内外における基礎的な資料の収集と整理、2)海外研究者との共同研究の準備、3)舞踊譜の解読・再現に向けた研究協力者への依頼と日程調整、以上の3点であった。 実施成果は、1)については、日本近代文学館と国立劇場情報館において音楽・演劇・美術関連雑誌を中心に関連記事の閲覧と複写を行ったほか、個人所蔵の資料についても同様に進めた。また海外の舞踊資料館(ケルンのTanzarchivおよびイギリスのNational Resource Centre for Dance)において、楳茂都陸平が滞在した当時のヨーロッパにおける近代舞踊と群舞に関する資料、彼と直接の交流があったあるいは彼が特に関心を持った舞踊家に関する情報を収集した。以上により予定した基本的な資料はほぼ収集することができた。 2)については、上記TanzarchivのアーキヴィストCristel Dreiling 氏、ケルン大学のHedwig Muller博士のそれぞれに対して本研究の目的と内容について説明し、情報交換を行うとともに、日欧の近代舞踊の比較考察を目的とした研究への協力を要請し了承を得た。 3)については、楳茂都陸平の舞踊譜を整理した上で、『熱情奏鳴曲(ソナタ・アパッショナータ)』『裸山の一夜』を考察対象とすることにした。すでに過去の研究で解読・再現を行った『春から秋へ』を参考に、『熱情奏鳴曲』の舞踊譜の解読と再現に着手することにし、2名の楳茂都流師範への協力依頼を行い、承諾を得た。さらに実際の舞踊譜を確認すると当初推測した以上の時間を要することがわかったため、平成28年度に開始する予定だった解読を前倒しし、2月から3月にかけて3回の解読作業を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・平成27年度は、国内外の資料館における調査によって、必要な基本資料についてはほとんど入手することができた。またドイツの研究者と本研究について話し合いを行い、共同研究に向けた意見を交換することができた。 ・現存する楳茂都陸平の舞踊譜の整理を行い、具体的に考察対象とする群舞作品についてはデータ化を行った。 ・舞踊譜の解読及び作品の再現に向けて、楳茂都流舞踊家に対して協力を要請し、承諾を得た。さらに次年度計画していた内容を前倒して解読作業を開始した。 以上より、本研究は計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従い、以下の事柄を着実に実施する。 1,平成28年度は、前年度収集した資料を整理して、書籍と雑誌に見られる大正期から昭和戦前期の「群舞」の状況について考察を纏める。 2,すでに計画を前倒しして進めている『熱情奏鳴曲(ソナタ・アパッショナータ)』の舞踊譜解読を終了させる。 3,『熱情奏鳴曲(ソナタ・アパッショナータ)』を舞踊手に振り写しして,具体的に演舞の記録と公開にむけた準備を開始する。
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Causes of Carryover |
設備備品費のうち図書・資料が予定額を下回ったことが主な理由であり、対象時期に出版された古書で購入に相応しいものが今年度は少なかったこと、また必要な多くの資料を資料館で閲覧・複写することができたことも理由として挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
古書を中心に、古書店のカタログやオンラインでの在庫リストに頻繁に目を向け、必要な書籍・雑誌を着実に購入する。また当初の計画より時間を要することが推測される舞踊譜の解読と作品の復元に必要な人件費及び旅費に使用する。
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