2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02130
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
須藤 弘敏 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (70124592)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 仏像 / 近世 / 地方 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は近世地方仏の実地調査を6回行い、関連の地方仏や仏教美術資料調査を福井、岡山など各地で、さらに比較研究に必須の民族彫刻やキリスト教彫刻の調査も日本とフランスで実施した。研究経費はそれらを進めるための旅費と機材購入に主に振り向けられた。 主な調査は、青森県五所川原市および弘前市、長野県筑北村、岩手県八幡平市の寺社において主に須藤単独で行ったが、筑北村安宮神社伝来の神仏像については矢島新氏の協力もあって、詳細な記録と撮影を行い得た。同社周辺に残る石仏については広く知られているが、26体にのぼる木彫の神仏像については村以外には知られていなかったが、同一工房作と思われる個性的な作風は名高い石仏群よりもやや時代をさかのぼる近世地方仏の注目作と認められる。 また東京都の日本民藝館の仏像コレクションは同館自身を含めて過去に詳しい調査が全く行われておらず、今回が初めての調査撮影となった。特に本調査は近世地方仏(民間仏)の造形的評価に関する視座を定める上で、きわめて貴重なものであった。 あわせて、各地の仏像神像に関する出版物や地方史などの収集につとめ、福井市立歴史博物館などで現地の研究者との積極的な情報交換も行ってきた。 以上のように、具体的な実地調査がしっかり行われ、その他諸情報の取得も含めて、情報の充実と研究の進展が十分にあった。その上で、自ずから課題も明瞭になってきた。つまり、近世の地方での造像がきわめて活発であり、各地にそれぞれ個性のある作者が存在していたことが確認された。その一方で、各地での評価に差異が大きく、ことに近世仏については仏像研究者の無関心さもあらためて強く認識された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地方仏の実地調査は青森、岩手、長野、東京で行ってきて、いずれも期待した以上の成果があった。仏像における地方性という点について、古代以来の幅広い時代や地域の傾向を理解するために、九州、中国、近畿、東北各地の地方仏多数を見て回ってきている。 加えて、単なる地方仏の情報収集的な研究ではなく、なぜ地方の民間仏が造形として評価できるのかという美術史の問題意識として考え続けてきている。そのために日本美術に限らず、日本民俗学の成果や民族学、人類学の価値判断についても検討し、本研究の意義をより大きなものにするよう考察を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
全国各地に個性的な地方仏が散在していることを知ったがゆえに、個人で各地の様相すべてを把握することは不可能であり、かつ単なる情報総覧的な研究に終わりかねない。そこで、残された2年間では全国各地域の情報収集を継続しながら、具体的な造形分析を北東北に集中して行うこととしたい。そこでは、なぜ地方民間仏が造形として評価できるのかという問題意識をより深化させて、成果を順次公表していきたい。
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Causes of Carryover |
調査計画は順調に進行したが、申請者が単独で行う調査が大半だったため、謝金の支出が少額にとどまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は交付予定額自体が減少するため、一部調査旅費などの不足が予想されているので、28年度残額をその充当に当てたい。
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