2016 Fiscal Year Research-status Report
初期及び盛期ゴシック聖堂における総合的展示プログラムの成立と展開
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15K02138
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木俣 元一 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (00195348)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゴシック / キリスト教 / 美術 / キリスト教図像 / 聖堂建築 / 展示プログラム / 演出プログラム / 聖遺物 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は以下のような実績をあげた。①平成27年度実施したサン=ドニ修道院聖堂、シャルトル大聖堂、パリ、ノートル=ダム大聖堂、パリ、サント=シャペル等での現地調査結果を踏まえながら、初期及び盛期ゴシックの聖堂空間における展示プログラムに関する研究成果を美術史学会全国大会のシンポジウムで報告した。②初期及び盛期ゴシックの聖堂空間における展示プログラムという観点も含めつつ、当時フランス王の宮廷が置かれる首都として発展の途上にあったパリとゴシック様式の形成の問題に関する研究成果を西洋中世学会大会のシンポジウムで報告するとともに、名古屋大学大学院文学研究科美学美術史研究誌で編集・発行する雑誌に発表した。③旧約聖書における礼拝空間である臨在の幕屋が聖所と至聖所という2つの質的差異を伴う空間に分節される伝統的モデルが、初期及び盛期ゴシックの聖堂空間における展示プログラムへと展開される諸様相に関する考察を深めるために、ストラスブール大聖堂及び大聖堂博物館での現地調査を実施した。また、ゴシックの展示プログラムをイタリア・ルネサンスと初期キリスト教の展示プログラムと比較考察するための資料収集を行うため、ピアチェンツァ、サン・シスト聖堂、ミラノ、サンタンブロージョ聖堂等での現地調査も併せて実施した。④聖堂空間において展開される展示プログラムの特質を、冊子体(コデックス)形式の写本において読者/観者の視覚経験を誘導するプログラムとの詳細な比較によって浮かび上がらせる目的で、『ホルトゥス・デリキアールム』写本の第67葉表裏両面に配された図式とストラスブール大聖堂南正面、南袖廊、内陣におけるステンドグラス、彫刻、内陣障壁、祭壇等の関係性について考察し、その成果を名古屋大学及びハイデルベルク大学で開催された国際シンポジウムで報告した。⑤本研究で得られた成果を含む知見に基づき著書(共著)を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現地調査及び調査結果に基づく研究が順調に進んでいる。また、研究成果の公表については、予定していた以上に活発に行われていると思われる。将来的に研究の対象となる地域や時代を拡大していくための準備も並行して進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、フランス等での現地調査を継続して実施する。また最終年度であるため、研究成果を積極的に公表していきたい。さらに本課題の研究成果を踏まえてさらに発展させていくための研究の準備と研究計画の立案も並行して進めることを予定している。
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Research Products
(6 results)