2017 Fiscal Year Annual Research Report
Formation and development of comprehensive exhibition program in the early and high Gothic religous architecture
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15K02138
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木俣 元一 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00195348)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゴシック / キリスト教 / 美術 / キリスト教図像 / 聖堂建築 / 展示プログラム / 聖異物 / 観者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、主に以下の5点の実績をあげた。①シャルトル大聖堂において平成27年度より実施した調査に基づき、聖母マリア及び聖餐の秘跡を主題とするステンドグラス、祭壇、聖遺物とその容器を関係付ける展示プログラムに関する研究論文を名古屋大学人文学研究科人類文化遺産テクスト学研究センターが編集する雑誌に発表した。②ストラスブール大聖堂南袖廊の展示プログラムに関する現地調査を継続して実施し、ストラスブール大学でゴシック建築・美術を研究する研究者との意見交換も実施した。③上記の研究センターが主催する研究集会「《古典》とは何か 古代中世西洋美術研究におけるアプローチ」で、「中世キリスト教美術における〈スポリア〉」というテーマで研究発表を行い、中世の聖堂建築における展示プログラムに組み込まれた古代に由来する美術品や宝石、建築的要素のリサイクル(再利用)の問題について考察を進めた。④本科学研究時助成事業における展示プログラムに関する研究成果を一層発展させる研究テーマとして、「ヴィジュアル・タイポロジー」と聖堂の展示プログラムの関係性に着目し、観者の身体と視線を巻き込み観者の経験としてタイポロジカル(予型論的)な認識を形成する効果について考察する論考を『学士会会報』に掲載した。⑤シャルトル大聖堂外陣北側廊に設置される「聖レオビヌス伝」の窓に見られる杯を捧げる人々やぶどう酒の販売に携わる人々の描写に関して、従来の研究では当該のステンドグラスの寄進者像とする解釈が狩猟であったのに対し、聖餐の秘跡とキリストの神秘的身体としてのキリスト教会、さらにキリストと信徒を媒介する聖職者の役割を強調するプログラムをそなえており、同じく北側廊で隣接する「ノアの物語」におけるぶどうの栽培の場面との関連性から、一種の展示プログラムが存在する点について、ハイデルベルク大学で開催されたシンポジウムで研究発表を行った。
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Research Products
(6 results)