2016 Fiscal Year Research-status Report
アルカディアのイメージ世界:ピエル・ヤコポ・マルテッロと視覚芸術
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15K02140
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
高橋 健一 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (70372670)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マルテッロ / アルカディア / バロック / 良き趣味 / ペトラルカ主義 / マリーノ主義 / マニエリスム / マンフレディ |
Outline of Annual Research Achievements |
1700年前後のイタリアを代表する詩人で劇作家のアルカディア・アカデミー会員ピエル・ヤコポ・マルテッロ(ボローニャ、1665―1727年)が公刊した版本の挿絵の問題に取り組んだ。その挿絵がいかに機能しているのかを見極めるためには、彼の著作の内容を知る必要がある。平成28年度の前半はその読解作業に多くの時間を当てた。また同年度9月に実施したローマ、ボローニャでの調査では、同時代の版本挿絵を数多く参照し、マルテッロの版本挿絵との比較をおこなった。この研究の成果は論文としてまとめられ、書誌学の専門誌『Paratesto』に投稿されて、採択が決定された。 また、同年度の後半には、現在ヴァチカン絵画館に所蔵されるドナート・クレーティの八点の連作絵画の研究にも取り組んでいる。自然豊かな風景のなか望遠鏡で天体を観測する若者たちを表わしたこれらの絵は、同時代の数学者・天文学者で詩人のエウスタキオ・マンフレディが提供した図像プログラムをもとに描かれている。詩人としてマルテッロとしばしば共同制作をおこなったマンフレディの着想の構造と機能を論じるため、関連する文献資料を読み進めた。 一方で、ボローニャのラヌッツィ館のギャラリー天井にヴィットリオ・マリア・ビガリが1724-1725年に実現したフレスコ画についての研究の成果を雑誌『Atti e memorie dell'Arcadia』に公刊した。そのフレスコ画にはピエル・ヤコポ・マルテッロが図像プログラムを提供している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のとおり、本計画の開始後に取り組み始めた研究の成果をまとめた二つ目の論文が公刊されることが決定された。その発表の場も本研究にふさわしいと考えられる。 その後に取り組んでいるドナート・クレーティの絵画の研究についても、資料の読解を進めて、いくつかの新知見をえることができた。この研究は、ピエル・ヤコポ・マルテッロが生きたアルカディア・アカデミーの詩的環境と美術の関係をめぐる問題に、新しい光を当てるものと期待される。 次に考察すべきピエル・ヤコポ・マルテッロの演劇の舞台美術のテーマについても、資料収集をある程度進めることができている。準備が整い次第、読解作業に取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはドナート・クレーティの絵画の研究の成果を論文のかたちにまとめ、しかるべき場に投稿したい。 その一方で、マルテッロ演劇の舞台美術の問題に本格的に取り組みたい。具体的には彼の『新旧悲劇論』(1715年)などの演劇論にある上演に関する記述を分析しつつ、同時代の演劇実践との関係を考察していく。また、同時代の役者で演劇理論家のルイージ・リッコボーニとマルテッロとの関係にも注目したい。 マルテッロの建築論、美術論については、すでに本計画の開始前に2本の論文を公刊している。準備が整い次第、こうして実現した論文に調整を加えて本のかたちにまとめたい。
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Research Products
(2 results)