2015 Fiscal Year Research-status Report
スマトラ・マレー半島におけるシュリーヴィジャヤの美術史学的調査研究
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15K02141
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 奈保子 広島大学, 文学研究科, 准教授 (20452625)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スマトラ / マレー半島 / シュリーヴィジャヤ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、その勢力範囲や都、また宗教形態が未だ明確になれていないシュリーヴィジャヤについて、中心的地域であったと推察されるスマトラ、マレー半島に焦点を当て、美術史の視点から調査研究を行い一解明を目指すものである。スマトラ、マレー半島および欧米の博物館、資料館において神像・仏像群・法具等の資料収集を行い、そのデータを図像・様式で分類し、地図上で位置を確認し、各像の関連性を検討してゆく。またインドの碑文、中国の文献資料により歴史的検証し、あわせて像の造形、及び源流を考究するため、西欧とインドにおいても調査、考察を行うこととする。 当該年度は8月に3週間、スマトラ・マレー半島に関する神像・仏像・法具等について西欧の博物館において調査を行った。イギリスの大英博物館、大英図書館、アシュモレアン博物館、Vitoria&Albert Museum、フランスはギメ美術館、ドイツはリンデン博物館、オランダはアムステルダム国立美術館、ライデン国立民族学博物館、トロッペン博物館等を調査し、イタリアにてギリシャ・ローマ彫刻の造形を確認した。 また3月には18日間、スマトラ、マレー半島の仏教美術の源流であるインドの調査を行った。デリー国立博物館、コルカタ国立博物館、ナーランダー博物館、パトナ博物館、ブッダガヤ博物館、アジャンター石窟、ピタルコーラー石窟、エローラ石窟、オーランガバード石窟、カーヘンリー石窟、バージャー・カーラ石窟、エレファンタ島にて資料を収集した。 その結果、スマトラ、マレー半島の仏像群に関連する資料を多数収集することができ、また、インドとの関連性、特に密教的要素をみることができた。これらについては、分析を行い、論文で報告を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は本研究課題に関して重要な西欧の博物館調査と西インド、東インド地域の調査を行い、重要な資料を収集することができた。そして9月20日に、「日本印度仏教学会第66回学術大会、高野山大学において南スマトラ・Jambi出土金銅四臂菩薩立像についての発表を行い、英文“ Study of a Four-armed Gilt Bronze Standing Bodhisattva Unearthed in Jambi,South Sumatra”として、「印度学仏教学研究」第64巻第3号(通巻第139号)、日本印度学仏教学会、平成28(2016)3月、pp.279-286に掲載することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は27年度に収集した資料の整理、考察を行う。さらにスマトラ・マレー半島における仏像・神像・法具等の資料を収集するべく、マレー半島調査を計画している。
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Causes of Carryover |
平成27年度から平成28年度に渡る海外調査を行ったことによる。平成28年3月24日~4月10日にかけてインド調査を行ったことによる。調査先博物館の受け入れ態勢、気候、また研究代表者の体調、大学行事等を考慮した結果、3月から4月にかけての日程となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年3月28日~4月10日までに海外調査を行ったため、使用済となっている。
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Research Products
(2 results)