2015 Fiscal Year Research-status Report

書物の中の視覚の泉－18世紀フランス絵画におけるオランダ挿絵本の受容研究

Research Project

Project/Area Number	15K02148
Research Institution	Nihon University
Principal Investigator	安室可奈子 (坂本) 日本大学, 芸術学部, 研究員 (10419749)
Project Period (FY)	2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords	フランス / 絵画 / 挿絵 / 18世紀
Outline of Annual Research Achievements	昨年度はフランス絵画と挿絵の関係についての基礎調査を行った。①ブーシェ作《ディアナの水浴》とディアナ図像の文献および視覚資料収集を行った。1732年版オウィディウス『変身物語』との関わりから、この挿絵制作に従事したオランダの画家たちについて調査した。②ヴァトー作《アンティオペ》と図像の文献および視覚資料収集を行った。1702年版オウィディウス『変身物語』との関わりから、この挿絵制作に従事したオランダの画家たちについて調査した。なお①については、平成28年度に大学紀要への投稿を予定している。②については平成29年度に学会での口頭発表および論文投稿を予定している。一方、下半期には、継続的に研究を進めていたフランス王政復古期の歴史図像において、絵画と版画の関係について研究成果を発表した。平成27年11月には美術史学会にて口頭発表を行い、その成果の一部を平成28年3月に白百合女子大学『言語・文学研究論集』に発表した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 平成27年11月にフランス、イギリスにおける調査のための渡航を予定していたが、テロの影響で急遽中止となったため、現地での作品実見および一次文献資料収集がまだ実施できていない。またオランダ、フランドル人挿絵画家に関する資料は国内で入手することが難しく、その収集が若干遅れている。このような理由からブーシェ作品研究の成果発表に向けた準備が些か難航している。
Strategy for Future Research Activity	２８年度はフランスおよびイギリス、オランダ、ロシア等へ2回の渡航を予定している。この海外調査において、ブーシェ作品研究の学会における発表準備のための不足資料を補完し、関連図像の実見をする。とりわけオランダではアムステルダム国立美術館において、ブーシェと影響関係にあると推定されるオランダ人画家の作品を実見し、その画家の関連資料を収集する。また前年度に引き続き、ヴァトー作品の基礎調査を推進する。
Causes of Carryover	平成27年度に予定していた海外調査をテロの影響により中止したため、旅費相当分を繰り越した。
Expenditure Plan for Carryover Budget	日本大学所蔵のオウィディウス挿絵本のデジタルアーカイブ化を計画しており、繰り越した次年度使用額はその撮影やコンテンツ作成費用およ人件費にあてる予定である。