2017 Fiscal Year Research-status Report
魏晋南北朝絵画における奥行き表現の歴史的展開-人物表現をてがかりに
Project/Area Number |
15K02151
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
河野 道房 同志社大学, 文学部, 教授 (90195678)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 奥行き表現 / 魏晋南北朝 / 壁画 / 山水画 / 山西省 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、国内調査4件、国外調査1件を行った。 1 2017年 4/30-5/1 画像石調査 東京国立博物館、2 2018年 2/1 仏教版画調査打合せ 武蔵野市立吉祥寺美術館、3 2018年 2/17-19 蘇州版画調査 海の見える杜美術館(広島)、4 2018年 2/23-24 魏晋南北朝美術資料調査 九州国立博物館、5 2018年 2/16-28 山西省壁画調査 上海博物館 1、4、5は魏晋南北朝時代の絵画・法書関連資料の調査であり、2、3はやや時代が下がるが中国および仏教関連の版画資料を調査した。3は、魏晋南北朝時代、隋唐以降、近代に及ぶまでの奥行き表現の展開を知る上で重要な資料であり、2は魏晋南北朝より隋唐にかけて成立した、仏教図像の展開を知る上で鍵となる、版画資料の調査である。当初計画していた、アメリカ・中国の資料調査が困難となり、今年度は国内調査と、これまでの研究成果発表のとりまとめを行った。 今年度までの成果として、2018年2月に『中国山水画史研究 ―奥行き表現を中心に―』(中央公論美術出版)を刊行した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年より開始された本研究課題は、希望していた調査ができない場合もあったが、今年度は上海博物館で婁叡墓壁画以外にも、新出の朔州水泉梁北斉墓壁画、忻州九原崗北朝墓壁画など山西省出土の北朝壁画を実見する機会を得ることができ、大きな収穫となった。そして本研究の成果を公刊でき、おおむね目標は達成できたと思われる。 研究計画最後の1年で、残されたいくつかの問題の補足、および新たな方向性の問題を整理、確認し、本研究の締めくくりとしたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年度は、調査結果のまとめの予定である。すでに冊子体での成果発表は行っているので、雑誌投稿や、Web ページでの公表を経て、報告書をまとめる予定である。 ただ、2-3年目に予定していた調査の内、中国のいくつかの調査については、可能であれば実施する予定である。 主に宋代以前の奥行き表現を調査研究してきたが、一連の調査から、宋代以後の出土壁画や、肉筆画ではない版画等の作品の奥行き表現の展開も、かなり複雑な様相を呈していることが分かってきた。これらについても整理、確認のうえ、次の研究課題へとつながるものかを検討したい。
|
Causes of Carryover |
平成28、29年度に計画していた中国、およびアメリカの博物館調査が都合で実現せず、代替の国内調査に切り替えたため、旅費に余剰金が生じた。 今年度は最終年度であるため、調査業務でなく成果発表を行う予定であったが、昨年度に成果発表のおおよそを冊子体で刊行したため、昨年度予定していた調査を、補足として今年度に行う。さらにwebページでの発表を充実したものとするため、日本語だけでなく英文、中文ページを計画中である。そのための翻訳謝金等も計上している。
|
Research Products
(2 results)