2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02155
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| Research Institution | Seinan Gakuin University |
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Principal Investigator |
松原 知生 西南学院大学, 国際文化学部, 教授 (20412546)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | モース / コレクション / 陶磁 / 古美術 / 骨董 / やきもの |
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| Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績の内容は、主として以下の４つに大別される。
１．来日以前におけるモースと芸術の関わりについて、モース自身の著作（とりわけ『日本人のすまい』と『日本その日その日』）、ウェイマンによる伝記、およびその他の二次資料（特に『モースのスケッチブック』）の読解を通じて考察した。それにより、アメリカ在住の若いモースが造形芸術にあまり興味をもっていなかったこと、音楽やオペラを聴きに行くことはしばしばあったが、美術鑑賞の経験はきわめて限られたものであることが明らかとなった。しかしそのことは結果として、同時代の他の外国人のように「ジャポニスム」の色眼鏡で日本を眺めることを回避させ、ありのままの日本の生活文化を（よい意味で）表層的に観察することを可能にしたと考えられる。
２．モースが発掘した大森貝塚の跡地に赴き、モースを記念して建てられた２つの石碑や、大森貝塚遺跡庭園、区立品川歴史館などを調査、写真撮影を行なった。過去と現在におけるモースの業績の評価について、実地の視点から考察することができた。
３．モースが収集した（あるいはしようとした）日本の陶磁器とそのコレクションの歴史を実際の産地で調査した。具体的には、信楽や丹波、常滑や京都など、日本の代表的な窯業地を訪問し、そこでやきものがどのように生産されていたかだけでなく、どのようなコレクターによっていかなるかたちで収集と評価が行われていたのかについて、知見を深めた。
４．現代日本における古美術コレクションの現状について、特に芸術家・杉本博司と村上隆の所蔵品を千葉と横浜の展覧会において実見・調査することで理解し、その遠い祖先とも言えるモースのコレクションの特異性を比較を通じて明らかにするための基礎的調査を行なった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は上述のように、モースの古美術コレクションそのものだけでなく、日本の各産地のやきもののコレクション形成や、現代アーティストによる古美術収集についても、比較対照を行なう目的で幅広く調査を行なったために、モースの骨董愛好そのものについての掘り下げた考察は、結果的にやや手薄となった。
とはいえ、これらはモースの芸術趣味の特異性を浮かび上がらせるために不可欠な作業であり、本研究の考察に厚みと広がりが加わることが期待される。また、モースにまつわる一次資料や関連文献などの収集、彼と同時代の日本の好古家たちに関する貴重な資料の入手などは順調に進んでいる。平成28年度はこれらの成果を十分に活用して、モース・コレクションの形成過程についてさらに考察を深めたい。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、初年度に計画していながらも十分に達成できなかった調査を行ないたい。具体的には、モースが滞日以前に実見したフィラデルフィア万博や、来日直後に何度も訪問した内国勧業博覧会など、国内外の万博における日本美術の展示と、モースによるその評価について、万博に関する膨大な研究の蓄積も利用しながら考察したい。
これを踏まえて、日本におけるモースの古美術収集の展開を時間軸と空間軸に沿って調査することを目指す。すなわち、第１、第２、第３回の日本滞在におけるモースの美術品に対する態度の変化を、彼の文章や収集品、あるいは収集方法の実際に即して明らかにするとともに、モースが日本のどこに足を向け、どのような人物たちと交流し、やきものや骨董にまつわる知見をいかにして深めていったのかをマッピングしたい。
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| Causes of Carryover |
当初計画していた図書の購入予定額と実際の残額との間に若干の誤差があったため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該残額は美術文献１～２冊分に相当する程度のものであるため、次年度に利用する図書を購入するために使用したい。
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Research Products
(4 results)
