2017 Fiscal Year Research-status Report
出土・在銘遺品を中心とした調査による明代彫漆器の基礎的研究
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15K02161
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
川畑 憲子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 主任研究員 (00463505)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国漆工史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度前半は、加療のため研究を進めることが困難であったが、後半は体調を考慮しながら以下のように研究計画を遂行し、以下の実績を得ることができた。 1.出土・在銘遺品の調査---所蔵者の協力のもと、九州国立博物館はもとより、他機関の研究者と協同して、国内外に所蔵される明代彫漆器および関連作品について詳細に観察・撮影をおこなった。調査に訪れたおもな所蔵先は、台北國立故宮博物院、台北・個人コレクション、東京国立博物館、東京・個人コレクション、京都・個人コレクションなど、計6ヶ所である。これにより、研究対象を細部にわたって比較検討するための貴重な資料およびデータを得ることができた。さらには、明代のみならず、宋代、元代あるいは清代に制作された彫漆器も合わせて調査することができ、多くの貴重な作例データを集めることができた。 また、所在が不明となっていた作品の所在や新出作品など、想定外の成果も得ることができた。 2.塗膜成分や木胎樹種の調査---本年度は九州国立博物館が所蔵する彫漆器についてX線CT調査をすすめ、木地構造、樹種解析に必要なデータを得ることができた。また、器種ごとの製作技法の特徴を明らかにするためのデータの整理をすることができた。 3.制作地・制作年代の再検討---1、2で得られたデータから、文様の種類や構成、彫漆技法、銘、木地構造などを、各作品ごとに細かく把握、整理することができた。これにより、制作地や制作年代を再検討する手がかりを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、加療のため遅れがでたものの、計画していた「出土・在銘遺品の調査」「木地構造の調査」「制作地・製作技法の再検討」を中心にすすめることができた。また、各地での調査により、所在不明作品や新出作品を見出すことができ、想定外の成果を得ることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も提出した研究計画に従って、以下のように研究を遂行し、最終年度では研究成果の公表を中心に行う。 1.出土・在銘遺品の調査---前年度までの調査をさらに発展させデータの収集につとめるほか、収集したデータの整理を行う。 2.塗膜成分や木胎樹種の調査---引き続き、科学調査を中心とした木地構造の調査をすすめる。また、調査データの整理を行う。 3.制作地・制作年代の再検討---1,2での成果をふまえて、設定した課題について検討を深めていき、学会や論文での成果の公表を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 勤務中の怪我による療養のため、予定していた調査の延期をせざるを得なくなった。そのため、研究期間の延長を申し入れ、次年度使用額が生じることとなった。 (使用計画) 変更となった調査について、所蔵機関と調整をはかり、研究期間内に実施できるようつとめたい。
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Research Products
(1 results)