2016 Fiscal Year Research-status Report
英国地方都市における前衛美術運動ーーリーズ・アーツ・クラブの軌跡
Project/Area Number |
15K02175
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
要 真理子 跡見学園女子大学, 文学部, 准教授 (40420426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 茂 京都精華大学, 人文学部, 教授 (80368042)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 英国 / モダニズム / 地方都市 / 前衛美術運動 / リーズ・アーツ・クラブ / post-impressionists / 文化振興 / 国際交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題二年目として、引き続き研究対象となるリーズをはじめとする英国の研究機関ならびに公共図書館等で資料調査・収集を行った。調査後、連携研究者への中間報告を大阪にて口頭で行い、その内容を跡見学園女子大学学科紀要『コミュニケーション文化』に活字で発表した。今回はリーズ・アーツ・クラブの活動のうち、1913年のポスト印象派展に焦点を当てた。 8月~9月:リーズ市図書館、リーズ大学図書館、バーミンガム市大学アーカイヴ、オクスフォード大学図書館、英国図書館、ヴィクトリア&アルバート美術館・ナショナル・アート・ライブラリー、コートールド研究所付属図書館において、リーズの前衛芸術を推進した人物の一人フランク・ラターの業績をたどるため、はじめに、20世紀初頭のリーズ・アーツ・クラブおよびリーズ市美術館で開催された展覧会資料を調査した。次に、文化政策の観点から、リーズ市/ヨークシャー州と大学ないし美術館がどのように連携しているかを考察するため、20世紀初頭のリーズ市図書館&美術館が刊行した年次報告書を閲覧・複写した。帰国後、豊中市役所を訪問し、上述の通り、連携研究者加藤降司氏に中間報告を行い、とりわけ地方行政・芸術文化政策の観点から助言していただいた。 10月~2月:これまでに収集した資料を整理し、研究分担者・前田茂と共著論文「地方都市における前衛美術運動の事例検討――"リーズ・アーツ・クラブ"の所産」を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に打合せを行った、本研究課題の協力者の一人であるリーズ大学付属スタンレイ&バートン美術館学芸員Layla Bloomが産休のため、実質的な協力がかなわなくなったこと、インタヴューを予定していたBenedict Read(Herbert Readの子息)が実施直前(平成28年夏)に亡くなったことにより、計画の変更を余儀なくされたことが挙げられる。重ねて、本務校の業務が本科研課題計画時の予想以上に多く、海外調査に当てる時間が少なくなってしまったことも一因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題最終年にあたる平成29年度は、前衛美術運動の拠点としての「リーズ」という観点ばかりではなく、当初の計画通り、芸術文化政策のモデルとして具体的な事例を資料調査に加えて関係者へのインタヴューや国内専門家との意見交換の機会をもつなかで検討していきたい。 そこで、研究会を1,2回、研究代表者あるいは分担者の研究機関で開催することを検討している。前述の通り、海外共同研究者の協力がかなわなくなったことにより、当初の予定の国際研究交流会から日本国内の研究者による公開研究会の形態に変更する。しかし、昨年度、リーズ市在住の地方自治体スタッフと知り合う機会を得たことから、英国の地方行政、とくにリーズの文化政策に関して、今夏、代表者と分担者は同スタッフにインタヴューを試みる。また、一昨年度、リーズ大学で懇談した本研究課題の先行研究者であるTom Steels氏にも再び連絡をとる。そこから公開研究会における基調報告を、入手した資料の分析とあわせてまとめていきたい。 本研究の成果は、今年度末に刊行される代表者所属跡見学園女子大学文学部紀要と分担者所属京都精華大学研究紀要にそれぞれ論文として投稿する。さらに、年度を超えてしまうことが予想されるが、先述した公開研究会の報告書の刊行も、実施に向けて努力したい。
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Causes of Carryover |
研究の進行が遅れている理由とも重なるが、前年度に打合せを行った、本研究課題の協力者の一人であるリーズ大学付属スタンレイ&バートン美術館学芸員Layla Bloomが産休のため、実質的な協力がかなわなくなったこと、インタヴューを予定していたBenedict Read(Herbert Readの子息)が直前(平成28年夏)に亡くなったことにより、計画の変更を余儀なくされた。重ねて、本務校の業務が本科研課題計画時の予想以上に多く、研究に当てる時間が少なくなってしまったため、主に研究費開催や謝金に関して未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、公開研究会を代表者と分担者の研究機関(跡見学園女子大学・京都精華大学)で行なう。その開催準備費(数人の研究者招聘のための旅費・謝金など)、翻訳原稿に関するネイティヴ・チェック費用に充てる。研究計画時には最終年度の海外調査は1回としていたが、夏期調査時にインタヴューがかなわなかった場合、冬期に渡英しリーズの関係者と意見交換を行なう。その渡航費としての使用も検討している。
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Research Products
(10 results)