2017 Fiscal Year Annual Research Report
Textual Analysis of Film Censorship and Self-Regulation in Japan, 1925-1956
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15K02180
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 千花 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (60589612)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 検閲 / 性表現 / 日本映画史 / ジェンダー / セクシュアリティ / 花街 / 移民 / 植民地 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、まず、4月に「京都大学映画コロキアム」を主催者として設立し、ここを足場として研究者を招いての講演会や書評会、映画の上映会を行って研究交流と成果発表を行った。4月には堀禎一氏を招いて監督作品『草叢』(2005年)をDVD上映し、ピンク映画の撮影と演出、デジタルとフィルムの差異、女性の表象の関連について講演いただいた。7月18-19日にはミニ・シンポジウム「映画と越境:国民国家、メディア、アイデンティティ」を開き、板倉史明准教授(神戸大学)韓燕麗教授(関西学院大学・当時)、Kim Dong Hoon准教授(米国オレゴン大学)、細川周平教授(国際日本文化研究センター)を招き、白井史人特別研究員(京都大学)と協働し、戦前期を中心に、アメリカの日系移民や植民地朝鮮の映画文化における権力関係と映画表現について研究発表や討議を行った。 研究代表者の研究成果発表としては、6月9日に英国セインズベリー日本芸術研究所で行われたシンポジウムに出席し、ポスト占領期における花街・遊郭を舞台とした映画の興隆について研究発表を行った。また、6月16-18日には中国・上海のWomen and the Silent Screen第九回大会に参加、女性プロデューサーとしての入江たか子と『満蒙建国の黎明』(1932)の女性・植民地表象についての発表した。 28年度から継続する検閲制度の変容と連動した花街・遊郭を舞台とした映画についての研究は、旧映倫やジャンルについての研究を加えて研究論文「システムと才能」にまとめ、論集『リメイク映画の想像力』に寄稿・出版した。『ユリイカ』の蓮實重彦特集号に寄稿した論文「女こどもの闘争」でも、映画批評と観客性を主題としつつ、性表現の規範性、撮影現場でのハラスメント、ジェンダーと権力関係を議論の軸としている。
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Research Products
(10 results)