2016 Fiscal Year Research-status Report
障害者の芸術表現による社会的包摂の国際比較研究―アール・ブリュット概念の再検討
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15K02182
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川井田 祥子 同志社大学, 研究開発推進機構, 特別研究員 (40567632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 雅幸 同志社大学, 経済学部, 教授 (50154000)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 障害者 / 芸術表現 / アール・ブリュット / 社会的包摂 / well-being |
Outline of Annual Research Achievements |
障害者の芸術表現に焦点をあてて、障害者が芸術表現活動を通じて社会的価値や文化的価値・経済的価値を実現するとともに生活の質を向上させていくための要因やプロセスの分析を行った。 国内における主な研究対象は高松市と大阪府の取組であり、研究成果は民族藝術学会第32回大会で発表した後、論文を執筆した。査読を受け、学会誌『民族藝術』に掲載された。 海外における主な研究対象は、2012年ロンドン五輪の文化プログラムの主軸の一つであった「アンリミテッド」プログラムである。英国で展開されたこのプログラムは、障害のあるアーティストの活躍の場を大きく広げたため今なお継続されており、文化セクターにおける障害者の雇用も創出している。そこで継続調査を行い、日本での応用可能性について検討を加え、7月にソウルで開催された国際学会で発表した。 また、文化庁が2014年度から推進している「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」において、8月に東京藝術大学で、11月に金沢美術工芸大学で、それぞれ講演を行った。自ら芸術表現を行いながら障害者の芸術活動への支援にも関心をもつ若手芸術家たちを対象に、芸術と福祉を架橋する意義を伝えた。 10月には京都で、NPO法人都市文化創造機構および同志社大学創造経済研究センターと協働して国際シンポジウムを開催し、「アール・ブリュット」をめぐる近年の国内外の動向について議論を行った。11月には東京でも国際シンポジウムを開催し、アール・ブリュットのコレクターをゲストに迎えて日本の福祉関係者らと意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた海外調査は平成29年度に延期したものの、海外からゲストを招聘して2度のシンポジウムを開催し、有意義な情報収集と意見交換ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年10月にフランスのナント市で開催されるアール・ブリュット展に合わせて海外調査を行う。併せて、これまでの研究会および国際シンポジウムの成果をもとに、さらなる比較検討と分析を行い、芸術表現活動を通じた社会的包摂を具現化していくための政策・施策の検討を行う。また、成果報告として論文を執筆し、社会に広く発信していく。
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Research Products
(6 results)