2016 Fiscal Year Research-status Report
日本映像芸術の1960-1970年代:その歴史的全体像について
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15K02184
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Research Institution | Wakkanai Hokusei Gakuen College |
Principal Investigator |
阪本 裕文 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 教授 (30381908)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アニメーション / 実験映画 / メディアアート / メディア芸術 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究活動においては、日本国内の1960~1970年代の映像芸術(実験映画・ビデオアートなど)を調査しながら、優先的に作業する作品を検討したうえで、日本を代表する個人アニメーション作家である相原信洋氏の、現存するフィルムのうち、以下の29作品のデジタル化作業を完了させた。うち15作品(*を付記)はニュープリントを作成して、試写による品質チェックを行ったうえで、デジタル化作業を行なった。1960~1970年代の作品を基本としながら、その後の作家活動も含め包括的に明らかにすることができたと考える。 『山かがし』(1971)、『初春狐色』(1973)、『逢仙花』(1973)、『妄動』(1974)、『新禿山の一夜』(1975)、『STONE No.1』*(1975)、『STONE』* (1975)、『雲の糸』(1976)、『Light』(1976)、『カルマ』(1977)、『光』(1978)、『アンダー・ザ・サン』(1979)、『MY SHELTER』(1981)、『リンゴと少女』(1982)、『BALBA』(1983)、『S=13』(1984)、『映像(かげ)』*(1987)、『GAVORA』*(1989)、『MASK』*(1991)、『SPIN』*(1993)、『気動』*(1994)、『耳鳴り』*(1995)、『RAIN』*(1995)、『MEMORY OF CLOUD』*(1997)、『YELLOW FISH』*(1998)、『THE THIRD EYE』*(1999)、『WIND』*(2001)、『LOTUS』*(2007)、『ZAP CAT』*(2008) また、平成27年度の研究成果を含む博士論文「前衛記録映画論の戦後的意味──1970年までの松本俊夫の諸活動をもとに」を執筆し、京都精華大学大学院芸術研究科に提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究活動においては、まず京都造形芸術大学の大西宏志教授などと協力しながら、相原信洋氏の残存するフィルム(ネガフィルムおよび上映用プリント)の調査と整理を進めた。そのうえで、平成28年度の研究活動のなかで作業すべき作品を選定し、デジタル化作業を実施した。また、1970年代以降の作品についても、その重要性を鑑みて、デジタル化作業の対象に含めた。これらの作品のうち、特に上映用プリントについては、ネガフィルムが残存しない作品が多数存在しており、詳細な事前調査が必要であった。そこで、東京都国立近代美術館フィルムセンターに協力を求め、技術面でのご助力を得た。それにより、極めて詳細な上映用プリントの調査を行うことができた。 また、平成27年度の研究成果を含む博士論文「前衛記録映画論の戦後的意味──1970年までの松本俊夫の諸活動をもとに」を執筆し、戦後の映像芸術の発展に大きな影響を与えた映画監督・映像作家である松本俊夫氏の1970年までの活動を明らかにした。この論文は京都精華大学大学院芸術研究科に提出された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究においては、引き続き文献・文書資料の調査と映像作品のデジタル化を進めてゆく予定である。本報告書作成時点では、相原氏の作品のデジタル化作業の継続と、平成27年度より取り組んでいる松本氏の作品のデジタル化作業の継続が候補に挙がっている。これらの作業に併行して、文献・文書資料のスキャンによるデジタルデータ化と、研究成果を美術研究者・映画研究者に向けて公開するための準備作業を進めてゆく予定である。
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