2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Innovativeness and popularization brought about by collaborative works in the modernization of performing arts
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15K02189
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
大林 のり子 明治大学, 文学部, 専任准教授 (00335324)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | オペレッタ / 演出家 / マックス・ラインハルト / 協働製作 / 舞台芸術 / 祝祭劇 / 劇場改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、演出家マックス・ラインハルトの手がけた音楽劇について調査研究を進めた。ラインハルトとの協働者として前半期の主要な上演の舞台美術を担当したエルンスト・シュテルン、音楽の面では後半期に協働した音楽家エーリッヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト、そしてラインハルトのドイツ語圏外への活動においてかかわりの深かったイギリスの興行主チャールズ・コクラン。彼らの活動を繋ぐ共通のジャンルとして、オペレッタ演出の存在が見えてきた。これまで、彼のオペレッタ演出は、前半期におけるラインハルトらの実験的と見なされた古典劇や近代劇の上演とは別の文脈におかれることが多く、研究対象としても重要視されてこなかった。実際に、一般に人気のあったオペレッタが、他の演目よりも観客に受け入れられやすく、興行的な成功が見込まれるものとして取り組まれたことは確かであるが、製作過程においては、当時の演出家と協働者たちの新しい舞台製作の姿勢を見ることができる。それは当時の演劇/劇場改革の文脈において、演劇の観客の層を広げる目的や、芸術としての舞台芸術の製作方法の伝播に大いに貢献した活動であったと考えられる。研究の成果については「マックス・ラインハルトのオペレッタ演出—新たな祝祭劇との接点」として、5月に西洋比較演劇研究会にて発表、その内容を改訂して年度末には『近現代演劇研究』に論文として発表済みである。
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