2015 Fiscal Year Research-status Report
認知言語学の応用によるマンガ表現理論と教育活用法の基礎研究
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15K02191
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
佐々木 果 明星大学, デザイン学部, 教授 (90441360)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マンガ |
Outline of Annual Research Achievements |
認知言語学をマンガに応用するための基礎研究として、語用論や認知意味論の先行研究の検討を行なった。これらの知見をマンガへ応用する際の問題について検討を加え、いったんとりまとめた成果については、7月25日に早稲田大学で開催されたワークショップ「マンガ、あるいは「見る」ことの近代」(早稲田大学総合人文科学研究センター研究部門「イメージ文化史」主催)にて発表を行なった(発表タイトル「フキダシの流行と「語り」の問題――1920~30年代の日欧米」)。また、イメージの修辞学の先行研究の検討と、マンガへの応用の可能性を探るために、連携研究者の夏目房之介(学習院大学大学院教授)氏、森本浩一(東北大学教授)らと共同で研究フォーラムを11月14日に行ない、物語論(ナラトロジー)という切り口から検討を行なった。言語に関する問題を「図像と言語の組み合わせ」であるマンガへ応用する際の妥当性と可能性を探るために、マンガ研究者4名(中田健太郎、野田謙介、三浦知志、三輪健太朗)にコメンテーターとして加わってもらい議論を広く公開しながら検討を進めた。ストーリーマンガの成立期の基礎調査については、国内の主要アーカイブズの収蔵資料の調査や収集を広く行ない、川崎市市民ミュージアム、国立国会図書館、京都国際マンガミュージアム、大阪児童文学館(大阪府立中央図書館内)などで活動を行なった。特に今期は、日本マンガの重要史料でありながら研究が進んでいない「明治ポンチ本」と呼ばれるマンガの初期資料の調査を重点的に進め、今後の研究対象となる基礎資料を相当な規模で確保することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連携協力者などと協力しながら、計画していた内容を比較的円滑に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、①研究の論点と対象史料の選択・検討を進める。(1)マンガの中で特に注目すべき表現上の特徴の検討。(2)今後の研究対象とすべきマンガ作品や作家、潮流などの検討。次に、②マンガ史全体の再検討と追調査を進める。 これらを相互に検討するために、ワークショップまたはシンポジウムを開催する。さらにこれらの知見に基づき、マンガ創作者の教育に応用するための基本問題や、見込まれる意義や問題点などを検討する。
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Causes of Carryover |
当初の計画に必要な出費を行なったが、見込みよりも安価に執行することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料収集を進めるための物品費にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)