2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02192
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
丸川 誠司 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (70339612)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バロック / 鏡 / メランコリー / カラヴァッジォ / プッサン |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度の「ポスト・ヒューマン時代のメランコリー」は、ある意味では極めてヒューマン(「あまりに人間的」)な時代であったバロック期の芸術表現の研究を中心に進められた。夏期にフランスと英国に出張を行い、フランスではシャンティイでプッサン、ナンシーでカラヴァッジォ、ラトゥールとフェティ、英国ではダルウィッチでのプッサン調査ならびにロンドン(The Warburg Institute Library等)における資料収集を行った。 この調査結果をもとに、既に準備にかかっていた「カラヴァッジォ/プッサン : 鏡とメランコリー」という論考を完成させた(「学術研究」2016年3月刊行)。バロック期のメランコリーの表現を巡る調査が主な成果となる。カラヴァッジオの「悔悛するマリア・マグダレーナ」と幾つかの隠された自画像のメランコリーの表現、及びプッサンのローマ時代の初期作品幾つか(同じく隠された自画像の表現)等を対象とし、両画家の隠された共通点を考察した。 年度末の調査はマドリッドとバルセロナで、同じくバロック期の主題と、モダン・アートの主題二つについて行った。一つは、17世紀に一定の需要があった哲学者のメランコリーの表現を巡る調査であり、この時期にしばしば扱われた(笑う)デモクリトスと(嘆く)ヘラクレイトスの想像上の肖像等を調べることになった。 マドリッドではリベラ(の「デモクリトス」)とベラスケスの「マルス」、ゴヤ(「黒い絵」のシリーズ等)のメランコリーの表現を調べ、さらにレイナ・ソフィアの図書館で、近代美術関連の資料収集を行った。 バルセロナでは、モダン・アートの領域に対象を移した。タピエス財団並びにミロ財団の図書館とアーカイヴで資料を収集。ミロについては、ピカソと比較可能な、1930年代の怪物の表現を巡る調査を行ったほか、ピカソについては、「青の時代」の背景考察も簡単に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度ではあったが論考を一つ完成させることができた。ただ美術関連の分野から始めたため、(詩等)文学の領域の研究はまだ進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
新しいテーマを設定しており、それを巡っての資料収集、調査が必要となっている。時代が二つに及ぶので、実施に一定の時間が必要となる。
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Causes of Carryover |
当初は新しいデスクトップ型のコンピュータと関連用品の購入を検討していたが、まだコンピュータが使えること、購入を考えていた年度末多忙だったことから、翌年度にまわした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度コンピュータ等を購入するか、ないし調査用の旅費等として使用する予定。
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Research Products
(1 results)