2016 Fiscal Year Research-status Report
アングラ演劇の演技と空間――寺山修司と佐藤信の作品をめぐって
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15K02193
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
梅山 いつき 近畿大学, 文芸学部, 講師 (50505401)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 舞台芸術 / 日本演劇 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアングラ演劇の歴史的位置づけを再考すべく、代表的な作家である寺山修司と佐藤信を取り上げ、それぞれの創作における方法論を見直すことを目的としている。本年は両名のうち、特に佐藤信について、影響を与えた交友関係と思想的背景、および、拠点劇場落成までの経緯と作品に与えた影響といった2点に関する調査を進めた。 研究の成果は主に展覧会二件と研究発表一件を通して発表した。まず、演劇博物館で開催された「あゝ新宿ースペクタクルとしての都市」展の準備に携わり、新宿における演劇文化について図録に執筆した。寺山の初期活動に新宿における上演が含まれており、原稿では都市文化との関係からそうした初期活動について言及した。次に日本大学芸術学部芸術資料館が開催した「1966年、自由劇場始まりの年」展に展示協力し、佐藤の初期拠点劇場であったアンダーグラウンド・シアター自由劇場の落成までの経緯と初期作品に与えた影響について調査した結果を論考として図録に執筆した。また、明治学院大学で開催された国際シンポジウム「アングラ・小劇場の成果と課題――現代演劇の未来に向けて」において、研究発表「アングラ演劇とメディア戦略――演劇センター68『コミュニケーション計画』を中心に」を発表した。本発表では、佐藤たちの集団を中心に、寺山の演劇実験室天井桟敷などの演劇集団が発行していた雑誌やポスターを取り上げたものである。研究会では美術の方面からの影響について示唆的な意見を得ることができた。 以上のように、本年は昨年から続けてきた初期活動に関する調査を論文や研究発表の形で発表した。三件の展覧会と国際シンポジウムは注目を集めた企画だったため、その場を借りてより広く成果を発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた作品分析がやや遅れている。所属研究機関が演劇博物館から近畿大学に移ったため、作品に関する資料に随時アクセスできなくなったことも一因である。より効率化を図り、限られた時間で資料調査を進めるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
作品分析を中心に進め研究成果を論文としてまとめる。佐藤に関する調査では「喜劇昭和の世界」三部作を取り上げる。寺山の方では、当初、最終年度は海外公演を取り上げる予定だったが、まずは1960年代末に発表した初期作品について分析をまとめたい。
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Causes of Carryover |
旅費として使用したが、年度末だったため次年度精算となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに旅費として使用しているため、使用計画には該当しない。
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Research Products
(3 results)