2016 Fiscal Year Research-status Report
歌舞伎・新派・新国劇等の記録とメディア環境をめぐる研究
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15K02194
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
児玉 竜一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10277783)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歌舞伎 / レコード / 演劇雑誌 / 演劇とメディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、映像資料、雑誌資料に加えて、音声資料の整理調査で成果を得た。 前年度に引き続き蝋管に関する貴重な所蔵情報を得ることができ、次年度に本格的な調査を行うメドをつけることができた。録音状態が良ければ、日本最古の謡の録音となる可能性がある。音声資料については、監修・解説を担当したSPレコードからの復刻CD20枚組の選集「古典は消えてゆく、されど」が芸術祭大賞を受賞、武智鉄二旧蔵のSPレコードコレクションを世に広める上で、いささかの貢献をなしえた。SP音源等の復刻、公開については、研究成果の社会還元の意味で、次年度以降も協力してゆく予定で、すでにいくつかの具体的な作業が進行中である。 映像資料については『伝統芸能放送85年史』からのデータ化をおこない、能狂言についてのデータベースを作成、歌舞伎についても入力作業を始めた。すでに、演目や出演者による検索は可能となっており、映像資料の整理調査に活用可能となっている。こうした研究環境の分析と、これまでに知り得た映像資料の総合的報告の意味を兼ねて、次年度の歌舞伎学会において<歌舞伎映像大全集>と称する集成を行う予定である。 雑誌資料については、雑誌『芸能』のデジタル化のほか、『演藝画報』の目次入力などを進めた。雑誌のデジタル公開については、早稲田大学演劇博物館・法政大学能楽研究所の活動とも連携しながら、具体的な公開方法を模索しつつある。 これらのほか、地方図書館において、地域劇場史や巡演上演史、地域演劇史などの記事を収集している。ゆくゆくは雑誌研究と連動させて、大都市に偏っている近代演劇史を是正する視点に結実させてゆく見通しである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
音声資料についての調査を進めるとともに、映像資料についての区切りを次年度につけ、雑誌資料にエフォートを傾注する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究方法について計画変更の必要は、まったくない。 当初の計画通りに遂行するとともに、既定年度以降への展開を絞り込んでゆく。海外や国内での発表予定もあり、成果公開についても順調といえる。
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