2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02196
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
村井 まや子 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (20347769)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | おとぎ話 / 民話 / 現代美術 / 現代文学 / 比較文学 / 表象文化 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は以下の3つである。 (1)異なる言語・文化・メディアを横断する複合的な視点から、現代文学・美術にみるおとぎ話の表象を比較分析することで、グローバル社会におけるおとぎ話の継承、伝播、変容の様態についての新たな考察を導き出す。 (2)上記の研究から得られる知見を活かして、芸術的な創作活動と連携することで、現代社会におけるおとぎ話の新たな文化的意義を、実践を通して提示する。 (3)上記の研究活動を通して、国際的なおとぎ話研究の理論的枠組みを日本の研究者の立場か ら問い直し、西洋偏重の傾向から脱して、より多文化的な視点を含む方法論へと発展させる。 2016年度は、10月にアメリカで開催された国際口承文芸学会の大会において “Domesticating Nature: Amy Stein’s Photographic Restaging of Human-Animal Encounters” と題する口頭発表を行ったほか、2017年1月にイギリスで開催された国際会議 Fireworks: The Visual Imagination of Angela Carter において “How to Cook a Jaguar: The Folkloric Motif of Human-Animal Transformation in the Works of Angela Carter and Ana Maria Pacheco” と題するplenary lectureを行なった。3月に神奈川大学において国際会議 Re-Orienting the Fairy Tale: Contemporary Fairy-Tale Adaptations across Cultures を実行責任者として開催し、本研究課題が提起する国際的・学際的なおとぎ話研究の展望について討議した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2016年度は、アメリカ、イギリス、日本で開催された国際学会で研究発表を3回行い、海外の研究者との討論を通して本研究課題が目指す国際的なおとぎ話研究の分野の発展に寄与した。科研費を使用することで、これらの研究発表に必要な資料の収集と調査を十分に行うことができた。さらに、本研究課題の基幹を成すプロジェクトであるおとぎ話研究の国際会議を実行責任者として開催し、10カ国以上から約50名のおとぎ話研究者が集い、本研究課題が提起する国際的・学際的なおとぎ話研究の展望について討議したほか、ちりめん本日本昔噺シリーズの英語による展覧会も同時開催することができ、予想を上回る成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、前年度に引き続き本研究に関する資料の収集と調査、現地調査を行うことに加えて、前年度3月に開催した国際学会の成果を英語による研究書として出版すべく、編集作業および序論の執筆を行う。また、8月にアメリカで開催される国際会議 Thinking with Stories in Times of Conflict においてパネルを主催し、 “Sewing Wedding Dresses for Interspecies Marriages: Tomoko Konoike’s Reimagining of Animal Bridegroom Tales after the Tohoku Earthquake” と題する研究発表を行う。前年度に国際口承文芸学会で発表した論考に加筆し、査読付きのアメリカの学会誌 Narrative Culture に寄稿するよう依頼されている。アメリカで2018年に刊行予定の Routledge Companion to Fairy-Tale Cultures 、およびイギリスで2018年に刊行予定の The Fairy-Tale World にそれぞれ原稿の執筆を依頼されている。今年度は主に以上の研究書および学術誌への寄稿と学会発表を通して、本研究課題を国際的に展開していく。
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Causes of Carryover |
年度末である3月末に開催した国際会議の予算に念のため余裕を持たせる目的で、当該年度の物品費の使用を最低限に抑えていたところ、幸い国際会議に想定外の出費が必要となることはなかったため、最終的には物品費に未使用額が生じる結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度に購入を控えていた研究資料などの購入に充てることを予定している。
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Research Products
(11 results)