2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K02196
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
村井 まや子 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (20347769)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | おとぎ話 / 昔話 / 表象文化 / 国際比較 / 現代美術 / 老年学 / 環境批評 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、本研究課題に関する資料収集・調査と現地調査を行い、主に以下の論文の執筆と学会発表を通して研究成果を公表した。論文 “Photographic”(The Routledge Companion to Fairy-Tale Cultures and Media. Pauline Greenhill他編. New York: Routledge, 2018所収)では、19世紀から現代に至る欧米やアジアの写真家によるおとぎ話をモティーフにした作品を概観し、おとぎ話という物語の形式が写真という視覚芸術にどのように取り入れられ、それによりおとぎ話がどのように変容されてきたかを論じた。2017年8月にウェイン州立大学で開催された学会“Thinking with Stories in Times of Conflict”において、パネル発表“Sewing Wedding Dresses for Interspecies Marriages: Tomoko Konoike’s Reimagining of Animal Bridegroom Tales after the Tohoku Earthquake”をパネル・オーガナイザーとして行い、日本の美術作品にみられる異類婚姻譚のモティーフが、3.11後の人と自然環境との関係の認識の変化をどのように反映しているかを論じた。本発表の内容をまとめた論文を、他のパネリスト3名の論文と合わせてアメリカの学術誌Interdisciplinary Studies in Literature and Environmentの特集号として出版する準備として、編集作業と序論の執筆を行った。上記の他に、おとぎ話と視覚芸術の相互関係について論じた2本の論文の最終稿を提出し、2018年度にイギリスとアメリカでそれぞれ刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究環境に恵まれ、当初の計画以上に本課題の遂行が捗った。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2018年度は、前年度に引き続き本研究に関する資料の収集・調査、現地調査を行うとともに、本研究課題の一環として2017年3月に開催した国際学会の成果をまとめた研究書の編集作業を行い、8月中に初稿をアメリカの出版社Wayne State University Pressに提出して、年度内に校正作業を完了する。また、2018年6月にイタリアで開催されるISFNR(国際口承文芸学会)の年次大会で、“(De)Colonising Nature through Illustrations: The Illustrations for “Little Red Riding Hood” by Walter Crane and Kazuyoshi Iino”と題する論文を、パネル・オーガナイザーとして発表し、パネリストおよび他の海外の研究者と討議を行う。本発表では、「赤ずきん」の絵本の挿画に、人と野生動物および自然環境との関係がどのように表されているかを、19世紀イギリスと現代日本の挿画における人と狼と森の描かれ方の比較を通して考察する。また、2018年5月~6月にイギリスのLeeds Arts University所属のギャラリーで開催される美術展 “Fur Story: Tomoko Konoike” 展のゲスト・キュレーターとして展覧会の構成を担当し、おとぎ話と視覚芸術の相互関係を美術展の形で表現し、本研究課題の成果をイギリスの研究者やアーティストをはじめ、広く一般市民に向けて公開する。さらに、「ちりめん本と女性の文化」と題する展覧会を神奈川大学図書館で開催し、展示と公開講演会を通して本研究課題の成果を国内の研究者、学生、一般市民に公開する。
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Causes of Carryover |
人件費に次年度使用額が生じた理由は、2018年度に開催予定であった図書展「ちりめん本と女性の文化」の開催時期が2018年の後期に決まったため、展示の準備の補助作業を行うリサーチアシスタントの雇用を2018年4月以降に開始することとしたためである。
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Research Products
(9 results)