2018 Fiscal Year Annual Research Report
Auditory Cultural Studies on Binaural Media Technology and Aurality: from the 1960s to the present
Project/Area Number |
15K02201
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
福田 貴成 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (60736320)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 聴覚文化論 / 表象文化論 / 両耳聴 / メディア / 聴覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に「関係者へのインタヴュー」を中心に研究を進展させた。具体的には、音響エンジニア・ミュージシャンのオノセイゲン氏、音楽・音響技術の業界誌編集者の國崎晋氏、サウンド・デザイナーでありミュージシャンの森永泰弘氏へのインタヴューを主たる成果として、本研究課題にかかわる音楽制作現場からの声の収集に努めた。 1980年代より音楽制作現場におけるエンジニアとして活動し、またミュージシャンとしても多数のアルバムを発表しているオノセイゲン氏には、両耳聴メディアと音楽制作との関係について話しをうかがった。モノラルからステレオ、そして今日のイマーシヴ・オーディオにいたる技術の流れが音楽になにを与えたのか、そして過去の歴史的録音や映画史上の名作のリマスタリング作業にエンジニアとしてかかわる際に、過去のフォーマット(モノラル/ステレオ/サラウンドなど)にどのような意識をもって対峙し、具体的にどのような技術的介入をおこなっているのかなど、音楽家/エンジニア双方の立場においての両耳聴メディアにたいする考えを披露していただいた。 音楽制作技術にかんする雑誌として広く読者を獲得している『サウンド&レコーディングマガジン』において、1994年以降20年にわたって編集長を務めた國崎晋氏には、1990年代以降の音楽制作現場における空間表象技術の変遷と空間表現との関係について、ジャーナリストとしての観点から話をうかがった。 世界各地でフィールド・レコーディングをおこなうとともに、歴史的に埋れてきた貴重な録音のリイシューも継続的におこなっている森永泰弘氏には、フィールド・レコーディングにおける空間表象の問題や、さらには「録音すること」そのものの持つ意義についての考えを伺うことができた。 以上の成果はいまだ公表には至っていないが、なるべく近いうちに論考あるいはWeb等のかたちで発表することを企図している。
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