2015 Fiscal Year Research-status Report
20世紀の南北アメリカにおけるアジア系移民の映画製作と受容の実態に関する研究
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15K02208
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
韓 燕麗 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (10537096)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 移民の映画 / アジア系移民 / 南北アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、計画通りに一次資料の発掘と収集に努めた。現存するフィルムの実態を把握するため、ニューヨークを中心に北米の状況を、リマを中心に南米の状況を調査した。8月にニューヨークの華人博物館で、チャイナ―タウンにあった映画館が残した貴重な資料を中心に調査を行った。南米のペルーでは、日系移民との比較も意識しながら、中国系移民と日系移民の比較調査を行った。とくに南米は今回初めて赴くことになり、大いに識見を広げた。これまでに調査に赴く場所が主にアメリカと香港の映画資料館および各大学の図書館に所蔵される資料に限られていたため、実際中南米など広範囲に行われた移民たちによる映画上映と受容の実態については、まだ不明なところが多い。しかし、アメリカで製作された映画または本土から輸入してきた映画のいずれも、観客の受容状況と密接に関わっている。そのため、映画の配給先である各地域の上映と受容状況について調べ、より調査の範囲を広げる必要がある。上記二点を調べた成果については、次年度に調査結果をまとめて発表する予定である。 今年度はまず、サイレント映画期の1910~1920年代のアメリカにおける中国系移民の映画製作の実態について論文をまとめた。史実や現存作品を分析したものを、年度末の3月に中国の映画学術専門誌に投稿しており、すでに掲載が決定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに一次資料の発掘と収集を中心に、研究を順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は下記の四つの方面から研究を推進する予定である。
1.前年度に引き続き、文献資料と映像資料の収集に努める。 2.現存する映画に対して、より精緻な作品分析を行う。 3.上記の調査と分析の結果を、国内外の学会や研究会に積極的に参加し、発表を行う。国内外の研究者と幅広く意見交換する。 4.一時資料と発表結果をもとに、論文をまとめて投稿する。
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Causes of Carryover |
物品費などは他の研究費を使用したため、当初の予算より少ない金額で研究を進めることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の南米調査で、調査旅費等が予想以上にかかることが判明したため、未使用額は次年度の南米出張旅費に使用する。
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