2015 Fiscal Year Research-status Report
近世~近代における風土記研究と郷土意識に関する研究
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15K02212
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
兼岡 理恵 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (70453735)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 風土記 / 地誌 / 受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は『播磨国風土記』写本伝播の契機となった谷森本『播磨国風土記』はじめ、谷森に関連する風土記研究関連資料が収められる宮内庁書陵部・谷森文庫を調査、その結果にもとづいて、『播磨国風土記』研究における谷森の位置づけ、写本研究の課題等について、古事記学会例会にて「幕末~明治期における『播磨国風土記』研究―谷森善臣を中心に―」(2015.9.19 於:学習院女子大学)として口頭発表した。 また『播磨国風土記』写本が、幕末~明治初期、播磨国(兵庫県)において伝播・研究された一例である岡平保『風土記考』について、兵庫県立歴史博物館による展示見学をするとともに、現地研究者との情報交換を行った。 さらに近世期の風土記受容の一端として、和学者・契沖の風土記受容について「契沖と風土記」(『国語と国文学』第93巻第1号 2016・1)として論文化した。一方、風土記説話自体の分析に関しては、古代文学夏期セミナ―での口頭発表(「風土記歌謡の「地域性」を問う―オケ・ヲケ「詠辞」を中心に―」2015.8.19、於:旅館「千條」、のち『古代文学』第55号に論文化)を行った。 そして本研究費の成果を含めたこれまでの研究成果について、アメリカ・シンシナティ大学において公開講演会を行った(“Conceptualizing Deities and Nature in Ancient Japan”Asian Studies 4th Japanese Studies Lecture Series University of Cincinnati 2016.3.15)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初計画していた地方における資料調査(内山真龍関連資料、出雲(島根県)における風土記関連資料)が、ほとんど実行できなかった。28年度に、これらの調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施できなかった、地方における資料調査を行う。また、柳田國男の風土記研究、および同時代における風土記受容の諸相について、『柳田國男全集』をもとにしたデータベース作成を行うとともに、新渡戸稲造らの「郷土」研究関連資料などの調査を進める。
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Causes of Carryover |
本年度は、予定していた地方における資料調査が実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に行えなかった資料調査を行うとともに、それに伴う資料複写費、資料購入費などにあてる予定である。
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