2017 Fiscal Year Research-status Report
近世~近代における風土記研究と郷土意識に関する研究
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15K02212
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
兼岡 理恵 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (70453735)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 風土記 / 受容 / 郷土 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、風土記関連地の実地踏査をはじめ、近世における風土記研究の嚆矢である今井似閑の伝記研究として、資料収集を行った。 風土記関連地としては、京都・上賀茂、下鴨神社をはじめとする山城(京都)の実地踏査を行った。その成果は、雑誌『朱』に発表予定である。 またこれまでの風土記研究の概略や現状について、『日本思想史事典』の項目を執筆した。さらに風土記編纂の背景を再検討する論考として「律令制と風土記」(『律令国家の理想と現実』竹林舎 2018刊行予定)を執筆した。これらの成果をふまえ、来年度書籍を刊行予定である。 一方、国際学会における研究成果の発信として、EAJS国際学会(2017年9月、於:リスボン大学)にて、風土記を中心とした古代文学における「境界」をテーマとした、口頭発表「Words Representing Borders “Hashi” (Bridge) and “Saka” (Slope)―境界をあらわす言葉―ハシ、サカ―」を行った。 今後は、これらの成果をふまえ、近代的風土記研究の一例として、全集・翻刻が多数出版された明治・大正期のテキストの在り方について調査する。さらに風土記研究の受容の一端として、アストン『日本文学史』以下、近代以降の外国・翻訳における風土記の位置づけを確認し、これからの風土記研究の国際的位置づけ、波及の方法について考察するとともに、日本文学および世界文学研究における風土記の発信方法、課題について把握し、風土記学の構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
明治後期~大正期における風土記研究・享受史として、芳賀矢一の風土記享受およびドイツ文献学・郷土研究関連資料の収集や、柳田國男の風土記・郷土研究関連資料の収集を進めている。その一方、この調査結果をまとめたデータベース作成が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年8月の風土記研究会にて、これまでの研究成果をシンポジウムの形式で発表予定である。また欧米における風土記を中心とした古代文学研究の状況を把握すべく、ドイツ・ハンブルク大学、アメリカ・コロンビア大学にて、資料・情報収集を行う。
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Causes of Carryover |
計画していた調査出張が行えず、調査・出張費が発生しなかったため。繰り越し分については、平成30年度に予定している海外調査の出張費、および国内における学会・調査出張費、および資料収集費にあてる。
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