2016 Fiscal Year Research-status Report
太宰治直筆資料のデジタル化、オンライン公開に関する基盤整備の研究
Project/Area Number |
15K02240
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 宏 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (30193113)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 太宰治 / 日本近代文学館 / 青森県近代文学館 |
Outline of Annual Research Achievements |
・太宰治のご遺族から日本近代文学館に三回目のまとまった資料の寄贈があり(2014年)、その概要を調査し、『日本近代文学館年誌』12号(2017年3月刊)に発表した(「「太宰治文庫」追加寄贈資料の概要」)。また、日本近代文学館の「太宰治文庫」の改定版の編集作業を館に協力する形で行った(成果は2017年4月刊)。 ・7月に青森県五所川原市、弘前市、青森市にて太宰治の資料調査を行い、多大の成果を収めることができた。金木町南台寺にて津島家(太宰生家)の史料調査を行い、金木太宰会会長、木下巽氏との懇談から、多くの情報を得ることができた。また、青森県近代文学館の総括主任、伊藤文一氏と懇談し、太宰治関係資料のデジタル化を要請し、そのロードマップについて、シミュレーションを行った。また、太宰の小学校時代の訓導を勤めた傍島氏の日記を閲覧した。さらに、津島家のルーツに関する古文書を入手することができ、調査を開始、江戸後期には農民として富裕層になっていたことを示す新資料を確認することができた。 ・青森県外ケ浜町には著名な太宰治文学碑が残されているが、痛みが激しく、修復の必要があり、町の文化財審議会に嘆願書を送り、関係者との折衝を行った。蟹田の文学碑建立時の佐藤春夫、井伏鱒二らの関係書簡(新資料)を確認し、これらは「東奥日報」平成28年8月10日付紙面に大きく報道された。あわせて太宰治が高校時代に出していた同人誌を文壇作家に送付しようとしていたリストを東奥日報記者の協力のもとに確認することができ、「東奥日報」28年11月15日付紙面に公開、その後日本近代文学館への寄贈の道筋をつけた。 ・三鷹市立太宰治記念館(仮称)の設立整備の助言者会議の委員に就任し、打ち合わせ会議に参加、ご遺族、市の関係者と数回に及ぶ打ち合わせを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本近代文学館、青森県近代文学館、山梨県立文学館の関係者と太宰治史料に関して密接な連絡を取り、資料のデジタル化について懇談することができた。 また、三鷹市に設立予定の太宰治記念館(仮称)の整備計画に協力することができた。 研究面においては、津島家資のルーツ、太宰治の高校時代について、あらたな資料を発掘することができ、研究書の下書き稿を書き進めることができた。 以上の点から、総合的に、大むね順調な成果を上げることができたものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
・引き続き上記の関係諸機関と協議を進め、青森(県立近代文学館)、駒場(日本近代文学館)、三鷹市との連携がうまくいくよう、調整役をつとめていきたい。 ・引き続き、研究書の執筆を継続していきたい。また、当該年度に入手することができた新資料の公開を考えていきたい。 ・資料のデジタル公開を拡大していく方策を、日本近代文学館、丸善雄松堂の関係者と協議していきたい。
|
Causes of Carryover |
物品費の購入予定を、一部差し控えたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
プリンターに必要な消耗品の購入に充てる予定。
|