2017 Fiscal Year Research-status Report
書物取次ネットワークと小売書店に関する研究:旧満洲・朝鮮半島・樺太等を中心に
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15K02244
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
日比 嘉高 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (80334019)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 外地 / 書店 / 取次 / 書物流通 / ネットワーク / 統制経済 / 台湾 / 満洲 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度においては、書物流通ネットワークの理論的な検討、戦時下の書物流通と経済統制について、台湾の小売書店および小売組合について、それぞれ調査分析を行った。 ネットワーク論については、「マリヤンの本を追って──帝国の書物ネットワークと空間支配」(河野至恩・村井則子編『日本文学の翻訳と流通──近代世界のネットワークへ』勉誠出版)を発表した。中島敦「マリヤン」を横糸にしながら、ネットワークと空間に関する理論的な考察を行った。植民地支配下における「空間の生産」、ネットワークの複数性、均質化と差異化、異民族が出会う接触領域、抵抗のネットワークなどについて検討している。台湾については、4月に台北市内の旧日本人街の踏査を行い、あわせてこれまでの研究成果を踏まえて、台湾政治大学において「帝国支配と書物流通──書店と取次の役割を考える」という講演を、台湾東呉大学において「第二次世界大戦以前の台湾における日本語書店と書物流通」という講演を行っている。 また、台湾および大阪、九州、満洲に関して次の論考を発表している。「外地書店を追いかける(8)──大阪、九州、台湾の共同販売所と大阪屋号書店満鮮卸部」『文献継承』金沢文圃閣、第30号、2017年5月、pp.11-15。「外地書店を追いかける(9)──台湾書籍株式会社と1930年代末の台湾書籍界」『文献継承』金沢文圃閣、2017年10月、第31号、pp.4-8。「外地書店を追いかける(10)戦時下の台湾書籍界」『文献継承』金沢文圃閣、第32号、2018年3月、pp.12-15。 戦時下の書物流通については、第5回東アジアと同時代日本文学フォーラムにおいて、「統制経済と書物流通──帝国の国策書籍配給会社」という研究発表を行った。日本、満洲、朝鮮、台湾の書籍配給会社について横断的に考えたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
台湾については、大枠で作業は完了した。 ネットワーク論についても論考を発表した。 朝鮮半島、満洲、樺太の状況については、ほぼ問題ない速度、内容レベルで考察が進んでいる。 戦時下の統制経済と書物流通との関係について、論考を発表することができた。 ハワイについては作業がかなり遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
満洲についての作業を進めていきたい。 先に満洲や統制経済の分析を行ったため、ハワイについては作業が進んでいない。継続的な課題である。
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Causes of Carryover |
ハワイについての研究が遅れているのが、原因の一つである。次年度において、他の地域と合わせしっかりと計画を進行させたい。
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Research Products
(6 results)