2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02248
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 秀樹 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60252409)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本近世文学 / 日本近世出版法制 / 荷田存麿 / 出版検閲 / 近世史 / 三都町触の相違 / 大阪法 / 大坂法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画にはその目的に二つの柱がある。江戸時代出版法制度の実態究明とその文学史動向との関係追求である。 現在未解明の三都(江戸、京都、大阪)以外の出版法については、『御触書集成目録』解題執筆者服藤弘司氏の論文集『幕府法と藩法』によって、それを確認すべき史料の存在を洗い出し、翻刻史料の収集を行い、未翻刻史料の研究期間中の閲覧あるいは複製計画を立てつつある。また、それでは把握できない代官史料の存在についても法制史料解題の類からその存在を洗い出し、計画の中に入れつつある。 また、三都のうち最も法令文の欠落の多い大阪に関してその補充作業を試みている。今年度は活字紹介の行われていた『大坂御仕置御書出之写』中にふくまれる新出出版法令によって大阪のみならず、江戸・京都の元禄二年不明法令を推定し、江戸時代前期法令の不明状況を推定する手がかりを得た(「元禄二年「異説」の捜索」)。 また、江戸に関して、京都と同じく、江戸時代前期に奉行所への出版申請制があったことが、国学者荷田在満が書き残した記録からわかることを明らかにした(「江戸時代前期の江戸における町奉行所出版許可制の存在について」)。 江戸では人の噂に関する出版を規制する法令があったから、この町奉行所出版申請制度は江戸における人の噂に関する出版規制を人々に厳守させる結果をもたらしたはずである。現在、三都出版法と三都浮世草子の作品内容及び質の相違との相関関係の有無につき考定すべく、江戸浮世草子の内容確認を行いつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究課題に関しては、史料の所在確認、史料の収集計画、成果執筆計画、等、すべてに関して順調に進めており、今後の見通しに関しても特に問題はないと思われ、さらに、すでに研究成果を論文として発表しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
三都以外の出版法については、少なくとも所属校附属図書館所蔵池田家文庫の史料によって大名が受け取った幕府法を確認できる見通しがついている。 代官史料については、来年度中に既知の代官史料所蔵文庫中に法制史料の有無を確認できる見込みである。 大阪法の補完に関しては、来年度、所在を把握している未翻刻史料の閲覧内容確認をするため出張調査を行う予定である。 浮世草子と三都法制の相関についても来年中に論文報告を行う予定にしている。
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