2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K02249
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
尾崎 千佳 山口大学, 人文学部, 准教授 (50335759)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 西山宗因 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、延宝元年(1673)から延宝八年(1680)、西山宗因六十九歳から七十六歳までの「西山宗因年譜考証素稿」を作成した。当初計画では、天和二年(1682)までの年譜考証素稿を作成したうえで、その修訂・増補を経て「西山宗因年譜考証」の完成に及ぶ予定であったが、平成二十八年度に発生した疾病治療のための休職期間の遅れを取り戻すことができず、素稿九割程度の完成に留まっている。 平成二十七年度・二十八年度・二十九年度の調査研究の一部に基づき、平成二十九年度日本近世文学会秋季大会(平成二十九年十一月十九日、於鹿児島大学)において、「宗因における出家とその意味」と題して口頭発表した。その内容は、寛文十年二月の小倉福聚寺における宗因の出家をめぐる言説の虚実を問うたうえで、それが黄檗文化の流行に乗じた出家であったことを論じたものである。あわせて、従来、俳号と理解されてきた「西翁」号が、相手の地位や立場に応じた宗因の別号であったことを、短冊・懐紙等の真蹟資料に基づいて論証した。宗因は、黄檗帰依を含む豊かな西国体験の体現者として大坂に舞い戻り、「西の翁」こと「西翁」として大坂俳壇の領袖の地位に収まった。そのかたわら、神宮連歌壇に対しては終始連歌師として指導的役割を果たし続けたことにも論及し、寛文後期以降の宗因を、「俳諧点者兼業の連歌師」と結論づけた。以上の口頭発表の内容は、「宗因における出家とその意味」(『近世文藝』108、平成三十年七月発刊予定)および「宗因と伊勢 続貉」(『山口国文』42、平成三十一年三月発刊予定)の二論文にまとめて平成三十年度中に公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成二十八年度に発覚した疾病治療のため、平成二十八年度はほとんど調査出張が実施できなかった。平成二十九年度も治療と体力保持を継続したため、平成二十八年度の遅れを取り戻すには及ばず、研究期間の延長を申請し、平成三十年度の研究課題完了を目指すこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間延長が認められたことを受けて、平成二十八年度・二十九年度に完了できなかった、東京大学史料編纂所・天理大学附属天理図書館・公益財団法人柿衞文庫等の諸機関における資料調査を実施し、今年度中に「西山宗因年譜考証」を完成させる。
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Causes of Carryover |
疾病治療およびその後の療養のため、平成二十八年度は当初計画の出張調査がまったく実施できず、平成二十九年度も体力低下等の理由で、その遅れを取り戻すことが出来なかった。研究期間の延長を申請し、認められたため、平成三十年度中に当初計画の調査を完了させる予定である。
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Research Products
(1 results)