2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02258
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| Research Institution | Nihon University |
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Principal Investigator |
武内 佳代 日本大学, 文理学部, 准教授 (40334560)
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2015-10-21 – 2018-03-31
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| Keywords | 女性誌 / 戦後作家 / ジェンダー / セクシュアリティ / 雑誌研究 / 大岡昇平 / 三島由紀夫 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大岡昇平の1950年代の女性誌連載小説『黒い太陽』（『婦人倶楽部』）及び『漂う湖』（『主婦と生活』）の初出内容と掲載誌記事・投書欄等との関連性について雑誌調査を行い、ジェンダー批評の観点から分析・検討することが課題だったが、科研費の繰り上げ採択が10月まで決定せず、すでにその時点で秋以降に別の研究計画や仕事も組んでしまっていたこと等から、本研究に必要な備品・消耗品の準備、参考図書の収集や雑誌調査のみに終わってしまった。
しかし、本研究と関連して、大岡と同じ時期に女性誌連載をし、大岡の女性誌での活動と比較対照となる三島由紀夫の女性誌連載小説については、三島の生誕90年・没後45年を記念する2015年11月15日の国際三島由紀夫シンポジウム2015の「セッションⅡ ２１世紀に三島文学を読む」において研究発表を行った（於・東京大学駒場キャンパス）。それにより、「戦後の文豪」と名指されるような男性作家たちの、これまで不可視化されてきた作家活動として、また、同時代女性のジェンダー／セクシュアリティ規範に関わる極めて重要な作家活動の新側面として女性誌連載小説というものがあることを、具体的な作品分析を交えながら明らかにした。このシンポジウムが様々な海外の研究者を招聘しただけでなく、一般の聴衆にも開かれたものであったため、研究のコンセプトを広く発信することができた。この報告内容については、2016年中に『国際三島由紀夫シンポジウム論集（仮題）』（水声社）として出版されることも決まっており、原稿はすでにゲラ校正の段階に入っている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
第一に、科研費の繰り上げ採択が10月になって判明したことが主な要因となっている。この採択の時点で、秋以降に別の研究計画や仕事が組まれてしまっていた。
第二に、平成27年度は、新しい本務校に転任した初年度にあたっていたため、年間の校務スケジュールが判然としていなかったということが理由として挙げられる。
第三に、一度科研費が不採用になったあと、国語教科書編集の仕事が入ることになり、それが10月以降、予想を遥かに上回る形で立て込んだことも理由として挙げられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
第一に、平成28年度は昨年度準備・収集した備品・参考図書・文献資料を用いて、夏季休暇中に昨年度計画していた研究内容を形にする。具体的には、『黒い太陽』（『婦人倶楽部』）及び『漂う湖』（『主婦と生活』）を扱う。必要ならば、改めて雑誌調査も行い、できれば秋に学会や研究会などで成果を発表し、論文化を進めたい。
第二に、秋からは、平成28年度に予定されていた研究内容の一部について雑誌調査を進め、年明けには研究会発表か論文化かの何らかの形で発信できるようにする。具体的には、『雌花』（『婦人公論』）を対象とする。そして、ここまでの大岡昇平の女性誌連載小説の示すジェンダー規範とのかかわりについて、同年代の三島由紀夫のそれとの比較を行う方向性に転換する。本来、平成28年度には、大岡昇平の『婦人公論』における「女流新人賞」選評の言説を調査・分析するはずだったが、これは平成29年度の課題とする。
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| Causes of Carryover |
科研費の交付決定が10月になったために、研究スケジュールが大幅に狂い、当初予定していた金額を使い切ることができなかった。そのため、次年度使用額が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の後期から研究の設備を整え、調査・研究のための参考図書や文献資料の収集を開始したが、思いのほか、参考図書に関わる費用がかさむことが判明したため、次年度使用額については、平成28年度に不足するはずの参考図書の費用に充当したいと考える。また、平成27年度に調査を行ってみて、同じ分野で研究するほかの研究者とも意見交換をしたほうが、より研究が発展的になるという見込みを立てた。ゆえに、参考図書費で使用額を消化できない場合、研究成果発信のための学会参加旅費や研究会開催費に充てたいと考えている。
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[Presentation] 三島由紀夫と女性誌2015
Author(s)
武内佳代
Organizer
国際三島由紀夫シンポジウム2015
Place of Presentation
東京大学駒場キャンパス（東京都目黒区）
Year and Date
2015-11-15
Int'l Joint Research
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