2017 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前期日本近代文学における内務省・GHQ検閲の比較研究の国際的展開
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15K02274
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
十重田 裕一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40237053)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本近代文学 / メディア / 検閲 / 占領期 / 出版 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度の研究実績の主たるものを、活字発表と口頭発表にわけて主たるもののみ以下に示す。著書では共編著、Atsuko Ueda, Michael Bourdaghs, Richi Sakakibara, Hirokazu Toeda, The Politics and Literature Debate in Postwar Japanese Criticism, 1945-52, Lexington Books, pp.1-322, May 2017.を刊行した。本書は、占領期日本の文芸批評に関する国際共同研究の成果である。共著論文では、Michael K. Bourdaghs, Cecile Sakai, Hirokazu Toeda, “Introduction: Kawabata Yasunari in the twenty-first century,” Japan Forum, Volume 30 Issue 1, pp.2-11, March 2018.を公にした。本論文は、シカゴ大学教授のマイケル・ボーダッシュ氏とパリ・ディドロ大学のセシル坂井氏との川端康成に関する共同執筆の論文であり、研究代表者は占領期のメディア検閲に関連する箇所を主に担当した。展望論文では十重田裕一「概観二〇一六年 日本文学 《近代》」」(日本文藝家協会編『文藝年鑑2017』、新潮社、pp.45-47、2017年6月)などを発表した。 招待講演には、“Japanese Literature and Two Systems of Press Control:The Intersection of Home Ministry and GHQ/SCAP Censorship During the Occupation Period, ” The University of British Columbia, November 9th, 2017.がある。当該科研費による研究成果に基づく内容について講演し、聴衆の方々からご意見、感想を頂戴した。一方、研究発表では、「戦後日本文化再考」第13回研究集会(国際日本文化研究センター共同研究会、2017年6月18日、立教大学)にて、「占領期メディア規制と出版文化――プランゲ文庫と岩波書店での調査を中心に」というパネルテーマのもと、占領期に刊行された文芸雑誌『近代文学』『新日本文学』『人間』等の検閲事例を挙げ、現在までの検閲研究の動向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は、設定した課題に即して調査をすすめると同時に、著書の刊行、研究発表を行うなど、着実な成果へと結びついている。「研究実績の概要」で示した活字発表・口頭発表以外でも、研究成果に基づく講義を、客員教授として赴任した米国スタンフォード大学大学院、中国清華大学大学院で実施するなど、研究は順調に進展した。急病で長期入院という不測の事態が発生したものの、前倒しで研究を進めていたので、研究の進捗状況はおおむね順調であった。
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Strategy for Future Research Activity |
一年の延長を認めていただいた活動最終年度の2018年度は、再調査を実施すると同時に、研究の成果をまとめることに主眼を置く。戦前の刊行物が占領期に再版された際の検閲や刊行プロセスについて、メリーランド大学図書館プランゲ文庫等でさらに詳細な調査を実施すると同時に、内務省検閲とGHQ/SCAP検閲との連続性・非連続性を重視した研究を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
急病で長期入院という不測の事態が発生し、予定していた海外における資料調査の出張が実施できなかったため、次年度に繰り越すことにした。今年度は、繰り越した予算を活用して、研究成果発表にかかわる費用とメリーランド大学図書館プランゲ文庫等での調査費用に当てる予定である。
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Research Products
(3 results)