2015 Fiscal Year Research-status Report
日本占領下北京における日本語文学の様相に関する基礎的研究―「東亜新報」を中心
Project/Area Number |
15K02283
|
Research Institution | Shiga Bunkyo Junior College |
Principal Investigator |
戸塚 麻子 滋賀文教短期大学, その他部局等, 准教授 (10711450)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 昌史 滋賀文教短期大学, その他部局等, 教授 (50623873)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 日本近代文学 / 思想史 / メディア史 / 邦字新聞 / 日中文化交流史 / 東亜新報 / 北京 / 高木健夫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は基礎資料となる『東亜新報』北京版(1939年7月~1940年6月)の撮影・保存を行った。『東亜新報』は国立国会図書館にごくわずか所蔵があるのみで、その他日本国内での所蔵は確認されていないため、中国上海にある上海図書館に出張し、デジタルカメラによる撮影を行った。また撮影不可能な部分については筆記を行った。撮影は1枚につき20元(約400円)であり、経費の多くはこの撮影作業、及び旅費として使用した。また、本年度は撮影に用いる機材も購入した。以上の成果をもとに研究分担者と研究会を行い、論文として成果の一部を公表した。
1.『東亜新報』に関する初の論考として神谷昌史「『東亜新報』研究のためのおぼえがき―創刊期を中心に」(『滋賀文教短期大学紀要』第18号、2016)を発表した。論考執筆にあたり、『東亜新報』主筆高木健夫の著作や、メディア史関係、中国関係の書籍を購入した。
2.『東亜新報』初期に掲載された文学者のエッセイを用い、戸塚麻子「日本占領下北京の青春と友情―長野賢(野中修・朝倉康)の『燕京文学』掲載小説をめぐって」(『滋賀文教短期大学紀要』第18号、2016)を発表、また「『大陸新報』連載小説にみるグレーゾーン――小田嶽夫「黄鳥」を中心に」(『戦時上海のメディア』研文出版、2016刊行予定、入稿済み)を公表予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者とともに夏季、及び冬季に上海図書館に出張し、『東亜新報』北京版の撮影を行った。しかしながら、当初の見込み以上に撮影時間が掛かってしまった。その理由のひとつとして、原紙の保存状態により撮影できない部分があり、筆記によって補う作業に時間をとられたことが挙げられる。本研究課題は、国内に所蔵がほとんどない貴重資料の保存がその主な目的のひとつであるため、撮影困難な部分についても丁寧に保存する姿勢で進めることとした。また、撮影の費用が当初の予想以上に掛かった(1枚約400円)ために、本来であれば全頁撮影して保存したいところを必要最小限の箇所のみ撮影するというように方針を変更したことも進捗に影響した。事前に必要箇所を選定した上で撮影するという手順が増えたためである。 以上の理由から研究計画を見直し、初年度に当る平成27年度は創刊された1939年7月から1940年6月までの一年分の撮影・保存を行うこととし、また、その間の文芸記事目録作成を進めた。 その他国内資料については、『東亜新報』主筆・高木健夫に関するものや、メディア史関係の資料を中心に収集を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は『東亜新報』1940年7月~1941年6月の撮影・保存、29年度は1941年7月~1942年6月の撮影保存を行う。それに基づき、創刊時から3年間の文芸記事の目録を作成し、最終年度に冊子として刊行する。 また、その間の紙面の変化や、文学者・思想家等の言説の変化について考察し、論文として公表する。
|
Research Products
(4 results)