2017 Fiscal Year Research-status Report
中英語頭韻詩と脚韻詩の対立・融合・変容発達の過程を探る:韻律と意味の観点から
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15K02287
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
井上 典子 小樽商科大学, 言語センター, 教授 (70708354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 佳行 福山大学, 大学教育センター, 教授 (10136153)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中世英文学 / 韻律 / 脚韻詩 / 頭韻詩 / 中英語詩 / 定型句 / 後半行 / 前半行 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、ラングランドのPiers Plowmanの分析を開始し、現在も継続中である。この調査によって、非脚韻頭韻長行の韻律構造をより明確にし、14世紀後半に書かれた頭韻詩群が同一の厳格な韻律ルールのもとに詩作を行っていたのか、もしくは、同じ頭韻詩であっても、北・北西部で制作された頭韻詩(例えば『ガウェイン』詩人の作品)と南西部・ロンドンエリア(例えばPiers Plowman)で制作されたと考えらえている頭韻詩には、韻律ルールに多少のばらつき(柔軟性)があったのかどうかを明確にすることが目標である。 ラングランドの調査を行う一方、2本の論文を執筆し、かつその成果を学会発表で報告した。一つの論文では、脚韻を伴うスタンザ形式の頭韻詩、『夏の日曜(Somer Soneday)』および『ガウェイン』詩人の代表作『サー・ガウェインと緑の騎士(Sir Gawain and the Green Knight)』を例として取り上げ、14世紀頭韻詩人の詩的技巧・工夫を検討、比較すると同時に、いかに頭韻詩が脚韻詩と対立、融合を経て変容していったのか、その一端を検証した。他の論文では、研究代表者自身の仮説を提示した上で、新たに発見した証拠に基づき、自らの仮説の有効性を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度は、家庭の事情で十分な研究時間を確保することができず、予定していた研究計画から遅れてしまったが、小樽商科大学にて平成30年度10月より1年間のサバティカルを取得予定であったため、遅れた分を取り戻せると考えていた。 しかしながら、平成29年度に、予期せず30年度4月に関西大学に転出することが決まり、転出に伴う準備・手続きや家族の引越準備・作業のため、前年度においてもラングランドの調査が思うように進まなかった。しかしながら、確保できる研究時間で、論文を2本執筆し、それまでの研究成果を学会で報告した。 今年度は、前任校で予定していたサバティカルの機会を失ってしまい、現職校での勤務も初年度であることから、どこまで遅れを挽回できるか不安ではあるが、夏に出来る限り研究時間を確保して研究を進めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、引き続きラングランドのPiers Plowmanの韻律分析を続行し、その調査結果を論文としてまとめ、査読付きの学術雑誌に応募することが第一の目標である。ただこの作品は大作かつ複雑であるため、ラングランドの調査を進めていく一方で、頭韻だけではなく脚韻も特徴とする脚韻頭韻詩の韻律構造の調査もしていき、ME頭韻詩の韻律構造、そして韻律と意味とのかかわりをより明確にしていきたい。 研究分担者は、引き続き、脚韻韻律ロマンスにおける頭韻句の語彙統語特徴と韻律分析を行う。脚韻韻律ロマンスにおける頭韻効果について調査するとともに、チョーサーと比較し、共通点と相違点を明確にしていく。
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Causes of Carryover |
研究代表者が、家庭の事情により十分な研究時間を確保することができず、家を留守にすることも困難な状況の中、学会発表・出席するための旅費に使用することが非常に少なかったため。
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Research Products
(9 results)