2016 Fiscal Year Research-status Report
アダプテーションとしての歴史小説ならびに歴史のアダプテーションに関する考察
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15K02298
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 徹 京都大学, 文学研究科, 教授 (30170682)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 英文学 / 映画 / アダプテーション / ディケンズ / 歴史小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は歴史と小説に関するアダプテーションの研究であり、28年度の研究実施計画には歴史小説の理解を深化させることが含まれていた。これにしたがって、ディケンズの『二都物語』についての詳細なテクスト分析を含む論考を発表し、ヒラリー・マンテルの『ウルフ・ホール』とゴア・ヴィダルの『リンカーン』についての私見を延長・改良した講演を行った。また、ディケンズの『大いなる遺産』についての研究論文を作成し、これはこの分野の代表的な国際誌Dickens Studies Annualに採用が決まった。 備品で購入した映像資料を活用し、文学作品、特に歴史小説の映画へのアダプテーションの広範な実例に接することができた。また、最近の長尺テレビ・ドラマを吟味することで今後の研究の可能性を拡大する貴重なヒントを得た。 文献調査の点では、特にRobert A. Rosenstoneの一連の著作、すなわち Revisioning History (1995),Visions of the Past (1995), History on Film/Film on History (2006)などの研究書には啓発されるところが大であり、多くの示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
映像資料、アダプテーションならびに歴史小説関係文献の収集・整理は順調に進み、それらの内容の精査も然るべく進行している。研究成果も間断なく発表しており、本研究は着々と進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き歴史小説の研究を継続する。長年の研究テーマである、ディケンズの代表的傑作、『荒涼館』の翻訳を刊行する。この小説について、国際学会で研究発表を行う。
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Causes of Carryover |
物品が予定した額より安価で入手できたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度できっちり消費できるようつとめる。
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