2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02299
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
服部 典之 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50172937)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地理学的想像力 / Henry Fielding / ISECS / ASECS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は海外出張や国内出張により「イギリス小説と地理学」に関する資料を収集した。特にHenry Fieldingの渡航したポルトガルでの現地調査によりFieldingの渡航の意義や足取りが明確になり、Fieldingの最晩年の作品『リスボン渡航記』に関する論文を執筆することがあできた。北に位置するイギリスから転地療法の一つとして南のポルトガルにフィールディングは渡航したとされるわけだが、それが退行的な治療という目的以上に「生の謳歌」という色彩が濃い点に特徴を見いだした。 計画通り18世紀研究の世界最大の国際学会であるISECS(4年に一度開催)が開かれたロッテルダムに行き、世界中の一流の学者と当該研究の議論ができたことは特筆できる。ウィーン大学のマーガレット・ルビク教授と議論したことで、後にウィーン大学に行き、資料収集及びさらなる議論を深めることができた。特にEliza Haywoodについての議論が意義深いものであった。ISECSではBucknell UniversityのGreg Clingham教授と会い、後にアメリカの学会発表に繋がる実質的議論ができた。 特にアメリカ・ピッツバーグで開催されたASECS国際学会では、chairをClingham先生をお迎えし、極めて刺激的なOriental Networksというpanel discussionを行うことができた。本パネルディスカッションの服部の発表では、東南アジアで起きたアンボイナ事件表象に関して、日本人の南洋での動向に強調点をあてて歴史的なOriental Networksを確認すると共に、デフォーの『キャプテン・シングルトン』やアフラ・ベーンの『オルノーコ』という小説作品の表象に、前者は顕在的に後者は潜在的に事件に纏わる感情や意見が書き込まれている点を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
学会参加、資料収集に関しては予定通り進んだが、特に2016年3月31日に国際学会でパネル・ディスカッションを開催できたことは、予定以上の進展と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はASECSの国際学会発表の内容を他のパネラーと共に一冊の英文書物に纏める計画である。また、Samuel Johnsonに関する日本人学者の論集Johnson In JapanをBucknell University Pressから出版する予定で、全員分Abstracts提出、研究代表者である服部も編者を務め、その執筆の責を担うIntroductionもすでに執筆が終わり提出準備が整っている。論文寄稿者は執筆にかかっており、本年度中、遅くとも来年度には出版できるよう方策を推進中である。
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Causes of Carryover |
本年度に国際学会ISECSで議論をした教授と共同で研究をおこなうため、ウィーン大学へ出張し資料収集、及び研究会を行った。そのため、イギリスの大英図書館での長期出張を次年度に変更した。その際比較的長期に渡ってオックスフォード大学で研究を大きく推進したい計画である。そのため、本年度を少し少なめに支出することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
イギリスでの大英図書館とオックスフォード大学附属図書館Bodleanへ海外出張し、大規模な研究を行う予定である。
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Research Products
(2 results)