2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02299
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
服部 典之 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50172937)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地理学的想像力 / イギリス小説 / ヨーロッパ小説 / 18世紀思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はアメリカのピッツバーグで行われたASECS(American Sosiety of Eithteenth Century Studies)の学会に参加し、研究課題に関する学会発表「タイトル:Trafficking Spices, Silver, and Japan: Representations of the Amboina Massacre」を行った他、学会での議論に積極的に参加できたことは大きな収穫であった。グローバル化の時代にあって、18世紀研究も世界レベルの視野で考察されることが分かり、「地理学的想像力」は現在の学会の一つの大きな課題であることを確認した。 また、本課題の一番のテーマはイギリスから世界に出て行った旅行記作家の著作に働く地理学的グローバルな想像力を考察することであるが、本年度の成果として、逆に海外の著名な作家や思想家などがイギリスを旅行することで、逆ベクトルでの想像力の働きを確認できたことである。例えばボルドー・モンテーニュ大学への出張では、モンテスキューのPersian Lettersでフランス的オリエント表象を研究でき、The Spirit of Laws of Englandではフランスから見たイギリス像が如実に読み取ることができることを知った。またデンマーク王立図書館への出張では、Ludvig Hoberg研究の資料・情報収集、資料閲覧を行い、Ludvig HolbergのJourney Under the GroundがSwiftのGulliver's Travelsの大きな影響を受けていることを確認した。またHolbergはオックスフォード大学に滞在した経験があり、関連資料を確認することでこの作家のイギリス像を研究できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は学務として「評価・広報室長」となり多忙を極めたため論文公表には至らなかった。だが、課題と最も関係の深い学会に参加し、自らも発表し、他の発表者やパネル・ディスカッションで議論を行うことができたのが大きな成果だった。また最終年度となる平成29年度に執筆予定の論文の資料を海外出張で得たことは大きな成果だった。なお、アメリカのバックネル大学からJohnson in Japanという英語の論集を出版することが決まっており、編集を行っている。まだ出版に至っていないものの、この論集に英語の論文を掲載し編集者となっていることも、おおむね順調に進展している証左である。
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Strategy for Future Research Activity |
バックネル大学からのJohnson In Japanを出版する。それに向けての編集作業も研究の一環となる。平成28年度に海外出張で収集した資料を吟味するとともに、それに基づく論文を執筆する。イギリスから世界の各地へ出立して旅行記を残した作家たちの全体像を明らかにする書物を出版するのが目標である。また、研究の過程で浮上した海外作家たちのイギリス旅行記の研究も発展性のある課題であり、将来的に研究を進めるための準備も行いたい。
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Causes of Carryover |
平成28年度は所属する研究科の校務として評価・広報室長という極めてロードの大きな仕事を任されたため、全てを使用することが極めて困難であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度となる平成29年度は、学会発表のための海外・国内出張を行う予定である。また書物出版や論文執筆を行うため、備品等の購入が考えられるため、予算を全て使用する予定である。
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Research Products
(1 results)