2016 Fiscal Year Research-status Report
ジョージ・オーウェルに関するトランス・アトランティック研究
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15K02320
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
近藤 直樹 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (10711690)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ジョージ・オーウェル / 戦間期 / 英米関係 / ミドルブラウ文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、第二次世界大戦後、「世界の大国」となったアメリカに対するオーウェルの見方に焦点を当てて研究を進めた。4~7月は、エッセイ「ヨーロッパの統合に向けて」(1947)や、アメリカの雑誌『パーティザン・レビュー』誌に連載した報告「ロンドン便り」(1941~46)、小説『1984年』(1949)など、「世界の大国」アメリカに対するオーウェルの見方がよくあらわれた資料を読解・分析した。 8月は、ロンドン大学セネット・ハウス図書館で調査を行い、4~7月の研究を補足するのに有益な雑誌論文などの資料を収集・分析した。9~10月は、オーウェルに関する論文・著書のうち、当該テーマに関係の深いものを読解・分析した。具体的には、オーウェルと『パーティザン・レビュー』誌の関係を論じた章を含む『文学的名声の政治』(ジョン・ロデン著、1989)などを分析した。また、4~10月の研究成果をまとめ、ロンドンでの調査の成果も盛り込み、12月の学会発表の準備を進めた。 11~12月は、学会発表を行うとともに、20世紀前半の英米関係の歴史・政治・文化に関する資料のうち、当該テーマにとって重要なものを読解・分析した。具体的には、オーウェルとも交流があったイギリスの詩人、スティーヴン・スペンダー著の『愛憎の関係――英米の感性に関する研究』(1974)などの分析を行った。また、平成27年度の研究成果を反映した単著論文「小説論に見るジョージ・オーウェルのアメリカ観」が発行された。 1月は、4~12月までの研究を振り返り、学術論文の構想を練るとともに、遅れの発生した調査に時間を充てた。2~3月は、1年間(特に12月の学会発表)の成果をもとに、学術論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画は、第二次世界大戦後、「世界の大国」となったアメリカに対するオーウェルの見方に焦点を当てて研究を進めることであった。4~7月は、オーウェルのエッセイや小説など、「世界の大国」アメリカに対するオーウェルの見方がよくあらわれた資料を読解・分析する計画であった。これらは、ほぼ予定どおりに進めることができた。8月は、ロンドン大学セネット・ハウス図書館での資料収集・分析と、学会発表の準備を計画していた。前者については、ほぼ予定どおり進めることができた。後者については、学会発表の時期が12月に決定したため、9~10月に行った。 9~10月は、学会発表を行うとともに、オーウェルに関する著書・論文のうち、当該テーマに関係の深いものを読解・分析する計画であった。学会発表は12月に行い、後者については、ほぼ予定どおり進めることができた。 11~12月は、20世紀前半の英米関係の歴史・政治・文化に関する資料のうち、当該テーマにとって重要なものを読解・分析する計画であった。これは、ほぼ予定どおりに進めることができた。また、学会発表も行った。 1月は、4~12月までの研究を振り返り、学術論文の構想を練るとともに、遅れの発生した調査に時間を充てる計画であった。2~3月は、1年間の成果をもとに、学術論文を執筆する計画であった。これらも、ほぼ予定どおりに進めることができた。以上の状況から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、27~28年度で明らかにできなかった部分を補う研究を行うとともに、余裕があれば、発展的課題(オーウェルと、同時代の英国知識人たちのアメリカ大衆文化観の比較や、アメリカにおけるオーウェルの受容の分析)をも視野に入れて、研究を進めたいと考えている。 4~7月は、オーウェルが数多く残した書評のうち、当該テーマや発展的課題に関係するものを分析する予定である。8月は、まず、ロンドン大学セネット・ハウス図書館での資料収集・分析を予定している。複写の対象として考えているのは、オーウェルの書評が多く掲載された『ニュー・イングリッシュ・ウィークリー』誌のバックナンバーなどである。もう一つの予定は、学会発表の準備である。 9~10月は、学会発表を行うとともに、オーウェルに関する論文・著書のうち、当該テーマや発展的課題に関係の深いものを読解・分析する予定である。具体的には、Q・D・リーヴィスによるオーウェル論を含む『ジョージ・オーウェルの世界』(ミリアム・グロス編、1971)などの分析を考えている。 11~12月は、20世紀前半の英米関係の歴史・政治・文化に関する資料のうち、当該テーマや発展的課題にとって重要なものを読解・分析する予定である。具体的には、オーウェルとウィンストン・チャーチルの外交政策案の共通性を示唆する『文化浸透の冷戦史』(齋藤嘉臣著、2013)などの分析を考えている。1~3月は、4~12月の研究を振り返り、遅れた作業を行うとともに、学術論文の構想・執筆を行う予定である。
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Causes of Carryover |
洋書の価格や海外出張費は為替レートの変更に影響されるため、購入決定額を見積もりにくい状況がある。今回も、一部洋書の購入額や、海外渡航費・宿泊費などが見積り額と異なったため、差額が生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額(52円)は、書籍の購入に充てる予定である。少額のため、研究計画全体に対する影響はほぼないと思われる。
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Research Products
(2 results)