• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2015 Fiscal Year Research-status Report

『ロビンソン・クルーソー』の再話に関する比較文学的研究

Research Project

Project/Area Number 15K02321
Research InstitutionJapan Women's University

Principal Investigator

佐藤 和哉  日本女子大学, 文学部, 教授 (00235326)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsロビンソン・クルーソー / 翻訳 / 児童文学
Outline of Annual Research Achievements

本年度の研究は、次の2点を中心に行った。1)19世紀イギリスにおける『ロビンソン』再話に関する資料収集、およびその読解。2)戦前戦後の『ロビンソン』翻訳に大きな役割を果たした講談社の少年雑誌の収集、およびその読解。
1)に関しては、オクスフォード大学ボードリアン図書館にて資料収集にあたり、マイクロ資料と原資料の両方を閲覧し、必要に応じて電子ファイル化したものを入手した。これにより、19世紀初頭に児童図書出版で重要な位置を占めていた Benjamin Tabart による再話が確認され、イギリス児童文学というジャンルの形成に、『ロビンソン』が果たした役割が一層明らかになった。そのほか、19世紀型チャップブックの印刷出版業者として有名なヨークのケンドリューやバンベリーのラッシャーだけでなく、多くの擬似チャップブックの存在も確認できた。
2)に関しては、昭和13年に『ロビンソン漂流記』を講談社から出版した南洋一郎が、当初おもな執筆の場としていたのが、同社の子ども向け雑誌『少年倶楽部』であったことから、同誌に連載されていた、南自身と、そのほかの当時の流行作家による子ども向け作品に着目した。これらの作品の読解を通じて、戦前に子ども向け(とくに男子向け)の物語で、主人公に求められていた美点としての勇敢さや力強さ、あるいは国家主義的なイデオロギーに、少なからず南も影響を受けていたことが分かり、その『ロビンソン』再話における文体や、主人公の性格造型にもその影響が及んでいることが判明した。この研究により、『ロビンソン』の受容を、これまでややもすると等閑視されがちであった、日本の子ども向け商業誌と関連づけることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

予定していた調査のための在外研究により豊富な資料の収集が可能であったため、当初の予定通りの進展であったと言える。読解に関しては、完全に予定通りではないが、大幅な遅れではない。

Strategy for Future Research Activity

資料収集、整理、読解は引き続き行う。昨年度収集した資料の整理は完了していないので、まずこの作業が必要である。また、遡って18世紀の『ロビンソン』再話についてはさらに収集が必要であり、それら資料の整理・読解も進めて行く予定である。
昨年度開始した、戦前・戦後日本における、子ども向け読みものとしての『ロビンソン』受容の研究は、とくに昭和20~30年代に焦点を当てる予定である。昨年度に引き続いて『少年倶楽部』との関連を探るほか、ほかの出版社による全集との比較も試みる。

Causes of Carryover

実施計画において、計算違いが生じたため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

消耗品などで使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2015

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 子ども向け翻訳書としての『ロビンソン漂流記』-南洋一郎を中心に-2015

    • Author(s)
      佐藤和哉
    • Organizer
      「歴史と人間」研究会
    • Place of Presentation
      一橋大学
    • Year and Date
      2015-11-14

URL: 

Published: 2017-01-06  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi