2016 Fiscal Year Research-status Report
17世紀イギリスにおけるピューリタン説教家による火薬陰謀事件説教研究
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15K02324
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Research Institution | Niigata University of International and Information Studies |
Principal Investigator |
高橋 正平 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 特命研究員 (70075810)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 火薬陰謀事件 / 説教 / ピューリタン説教家 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究対象は平成27年度の英国国教会派説教を踏まえてピューリタン説教家による火薬陰謀事件説教である。17世紀に入り1642年に本格的に内乱が勃発し、体制側のチャールズ一世派説教家は徐々に守勢に追いやられ、逆にピューリタンが政治の主導権を握る。それと同時に説教もピューリタン説教家が大勢を占め、彼らが事件日の11月5日にほぼ毎年記念説教を行うことになった。火薬陰謀事件は元々ローマ・カトリック教の過激派ジェズイットがジェームズ一世を国会議事堂爆破によって殺害しようとした事件であった。火薬陰謀事件説教の目的は事件の風化を防ぎ、あわせて事件の残虐性とカトリック教会がいかに危険な宗教組織体であるかを国民に訴え、奇跡的に難を逃れたジェームズ一世を賞賛し、神への感謝をささげることである。平成27年度で扱った英国国教会派説教家はすべてこの目的に沿って説教を行い、ジェームズ一世体制維持に尽力する。これに対してピューリタン説教家による火薬陰謀事件は英国国教会派説教による火薬陰謀事件と大きな違いを見せる。それはピューリタン説教家はもはやジェームズ一世賞賛、体制維持に説教を向けることはしていないということである。彼らの説教の真の目的はいかにしてチャールズ一世体制を打倒し、共和制を樹立することにある。本来の火薬陰謀事件日における記念説教は火薬陰謀事件を扱うことになっているのであるが、ピューリタン説教家は本格的に火薬陰謀事件を扱うことはせず、逆に体制打破を叫ぶのである。平成28年度に扱ったWilliam Spurstowe, Charles Herle, Matthew Newcomen, William Strong, Stephen Marshall はすべて火薬陰謀事件説教において事件よりもチャールズ一世体制打倒を聴衆に訴えている。火薬陰謀事件説教が内乱時においてはジェームズ一世、チャールズ一世時代と大きく異なっていることを平成28年度において解明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究方法は、内乱時におけるピューリタン説教家が火薬陰謀事件説教において何を訴えようとしていたのかを各説教の精読によって解明しようとするものである。研究対象の一次資料がほぼ完備しているので、研究は概して順調に進んでおり、予定通り各説教の精読により、ピューリタン説教家による火薬陰謀事件の真意を解明することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策は平成28年度に扱えなかったピューリタン説教による火薬陰謀事件説教の精読である。平成29年度の研究対象はWilliam Sclater, Stephen Marshall, William Bridge, Peter sterryである。他にもピューリタンによる火薬陰謀事件説教はタイトルが記載されているが実際はどのような事情によるかは不明であるが出版されておらず、研究対象から除外しなければならない。平成28年度、平成29年度のピューリタン説教による火薬陰謀事件説教は現存する資料による唯一の研究になる。
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Causes of Carryover |
研究書出版編集に時間がかかりすぎ,出版は翌年度に持ち越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は研究書出版と研究関連書購入を計画している。
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Research Products
(4 results)