2017 Fiscal Year Research-status Report
17世紀イギリスにおけるピューリタン説教家による火薬陰謀事件説教研究
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15K02324
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Research Institution | Niigata University of International and Information Studies |
Principal Investigator |
高橋 正平 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 特命研究員 (70075810)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 火薬陰謀事件 / 説教 / 英国国教会説教家 / ピューリタン説教家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は17世紀英国におけるピューリタン説教家による火薬陰謀事件説教である。火薬陰謀事件は1605年11月5日国会開会中にカトリック教の過激派ジェズイットによるジェームズ一世暗殺未遂事件である。従来火薬陰謀事件説教は英国国教会派の説教家によって事件後毎年11月5日に行われていた。英国国教会派説教家による火薬陰謀事件説教については科研費による研究として行ったがその研究過程で私はピューリタン説教家も火薬陰謀事件説教を行っていることを知った。1640年代にピューリタン説教家も11月5日に記念説教を行うことになった。しかし、ピューリタン説教家は英国国教会派説教家とは著しい違いを見せる。英国国教会派説教はジェームズ一世体制擁護のために王賞賛、カトリック教批判に集中する。これに対してピューリタン説教家は新しい社会建設が彼らの目的であるためジェームズ一世及び息子チャールズ一世を批判する。彼らにはもはや王賞賛、体制維持の姿勢は見られない。彼らにとって時の王チャールズ一世打倒による共和国樹立が急務となるが父ジェームズ一世を賞賛することはない。ピューリタン説教家の事件日における説教は事件よりもチャールズ一世体制打破を直接論ずるのである。たとえば彼らは王党派との各地での戦いでの勝利を聴衆に確約し、また勝利をおさめればその記念に戦勝記念説教をも行う。 本研究では英国国教会派説教家 William Barlowe, Lancelot Andrewes, John Donne等から始め、その後ピューリタン説教家による説教へと転じ、 Cornerius Burges,John Strickland,William Spurstowe, Mathew Newcomen等の火薬陰謀事件説教を論ずることによって両派の相違、ピューリタン説教家による火薬陰謀事件説教の真の目的の解明にあたった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年から始めた本研究は平成28年度と平成29年度はピューリタン説教家による火薬陰謀事件説教研究を行った。平成27年度ではピューリタン説教家による火薬陰謀事件説教との相違を論ずるため英国国教会説教家による火薬陰謀事件説教を一部論じた。その後平成28年度、平成29年度ではピューリタン説教家による火薬陰謀事件説教の精読によってその解明にあたった。最終年度の平成29年では Peter Sterry: England's Delivery from northern Presbytery を中心にしてピューリタン説教家の火薬陰謀事件説教の解明にあたった。その後過去2年間の研究成果を出版する作業に入ったが、編集に予期せぬ時間を要し、出版は遅れているの現状であるが、今年度中の出版を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては研究課題過程で王党派説教家も内乱中に火薬陰謀事件説教を行っていることを知るに至ったので、今後その説教と内乱時王党派の牙城であるオックスフォードでやはり王党派による説教が行われているのでこれら二つの説教を取り上げることにより劣勢に追いやられた王党派がいかにして巻き返しを試みているのかの実態の解明にあたりたいと思っている。
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Causes of Carryover |
研究実績の出版に予期せぬ時間を要したため。平成30年度内に研究書の出版に使用する。
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Research Products
(4 results)