2017 Fiscal Year Research-status Report
19世紀アメリカ禁酒小説/運動におけるジェンダーギャップの研究
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15K02338
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
森岡 裕一 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (20135635)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 禁酒物語 / 禁酒運動 / ジェンダー / ハリエット・ストウ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、夏と春にアメリカ出張を行い、ニューヨーク公立図書館、コロンビア大学、ハワイ大学図書館等で資料調査および収集を実施した。この分野の第一人者であるT.S.Arthurの文献調査はかなり進んでいるが、彼の編集による禁酒物語集 THE TEMPERANCE GIFT(1854)の調査ができたことは大きい。今後力を入れるべく精力的にテクストを集めている女流禁酒物語作家についても、Mary Chellisを中心にテクストおよび関連資料を相当数収集できた。また、Alice Carey, THE ADOPTED DAUGHTER(1859)やNellie Grahame, THE GLASS OF WINE(1866)などテクスト入手が困難な作品に出合い、コピーもしくは現物を読みメモできたことも、今後の研究の基礎資料となる点で大きな収穫である。 以上のように資料の蓄積を進めると同時に、テクスト等の分析についても研究を進めたが、今年度はとくにハリエット・ストウに焦点を定め、さまざまなジャンルにわたる主要作品を分析し、ストウ文学の背景にある思想を時代の流れのなかで考察した。その成果は24,000字程度の論文にまとめ、本年夏に発刊予定の紀要に投稿済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象である禁酒物語はテクスト入手が困難で、アメリカ各地の図書館に散在する資料に直接あたるしかなく、拠点となる機関に赴き閲覧・コピーするか、筆写やメモをとるしかなく、たびたびの出張が必要である。今年度も夏と春の休みの期間にアメリカ出張を実施し、資料調査・収集を継続できたことは基礎資料の整備に役立ち、また相当数の資料が収集できたことは重要である。そうして集められたテクスト等の分析も進んでおり、論文にまとめられたことは大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
業務の都合で予定した海外出張の回数が確保できず、そのため科研費に計上した海外出張の経費が当初より少なくなり予算が残っている。一年間の計画延長を認めていただいたので、予算の有効活用のため、資料調査・収集にいっそう精力的に取り組みたい。同時に、女性禁酒物語作家のテクスト等の分析を進め、その成果の一部を今後一年以内に論文にまとめるつもりである。それで19世紀アメリカ禁酒物語研究の第一段階を締めくくることができるものと考えている。
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Causes of Carryover |
研究対象の資料が大量・多岐にわたるため、米国大学図書館で継続的に調査収集することが必要である。ところが、業務の関係で当初予定した出張の回数が確保できず、そのため科研費に計上した海外出張の経費は当初より少なくなり予算が残っている。一年間、研究期間を延長することが認められたため、再度アメリカ出張を行うなど予算を有効活用し、研究精度をさらに高めたい。
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