2015 Fiscal Year Research-status Report
アジア系アメリカ文学研究のポスト・グローバリズム的展開と多極的研究体制の構築
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15K02339
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 秀行 神戸大学, その他の研究科, 教授 (90230581)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アジア系アメリカ文学 / インターレイシャル / ディアスポラ / ポスト・グローバリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、本研究の基本的研究視座となる、ポスト・コロニアリズム批評家によって提示された「ポスト・グローバリズム的」概念「惑星思考」を明確に定義づけ、その概念の本研究へ有効に適用できる研究方法を開発すべく努力した。その上で、21世紀に入ってから活躍著しいHa JinやYiyun Liなどの「ディアスポラ」のアジア系アメリカ人作家の文学における国家的・言語的・文化的な「領域横断性」の解明を試みた。 さらに、平成29年度に予定していた「ポリカルチュラル」なアジア系アメリカ人の演劇も研究対象に加えた(Dan Kwongとはアメリカでインタビュー実施やFred Hoについては申請者が研究会において研究発表)。 アジア系アメリカ文学および「ポスト・グローバリズム」関係文献の収集を行い、国内で入手不可能な文献等に関しては、全米のアジア系アメリカ文学研究の拠点大学として知られている、UCLA(カリフォルニア大学ロサンザルス校)とUW(ワシントン大学)などの図書館に赴き、入手し、研究を進めた。国内の本分野および関連分野の研究者、特にUCLA教授King-kok Cheung、UW教授Stephen Sumida、台湾中央研究院教授Yu-cheng Leeなどの国外の研究協力者からの協力を得て、多角的かつ多極的な研究を展開していく基盤を構築した。特に本年度は、まず、国内外の研究ネットワークの基盤構築のために、申請者が事務局長を務める学会AALA(アジア系アメリカ文学研究会)を通じて、国内外の研究者への本研究への協力を呼びかけるとともに連携強化を図ったほか、AALAと共催(2016年1月例会)で本研究の成果のための研究会(平成28年1月30日、神戸大学)を開催し、Yu-cheng Lee教授を招聘して、有用な助言を得ただけでなく、台湾・日本間の共同研究に対する構想について協議した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力者との協力体制構築や資料収集を目的とした申請者の海外出張(アメリカ)および、研究協力者の日本への招聘(台湾)が、相手方の都合等のために、年度末にずれ込んでしまったこともあって、平成27年度の研究を計画通りにすすめ、その研究成果を年度の内に公刊することができなかった(ただし、平成28年度に、平成27年度内に行った研究発表を基にした論文を研究誌等において公刊する予定)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究の基本的研究視座となる、「ポスト・グローバリズム的」概念の本研究へ有効に適用できる研究方法の開発をさらに進めつつ、その上で、基本的には申請書に記載した年度ごとの区分に従いつつも、研究計画の総合性を維持し、研究をさらに革新的に発展させるためにも、より効率的・合理的と判断される場合に限り、年度ごとの区分に縛られない形で研究を進めていく。また、研究協力者との共同研究(あるいは申請者の研究に対する研究協力者からの指導助言等)を実行していくために、年度内の早い段階において、メールやスカイプ等で綿密な打ち合わせをするなどの準備作業を入念に行う。
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Research Products
(3 results)