2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the relationship between the popularization of Modernism literature and the strategies of British and American print culture
Project/Area Number |
15K02346
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
金澤 哲 京都女子大学, 文学部, 教授 (70233848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 菜摘 京都府立大学, 文学部, 准教授 (80516138)
山本 裕子 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (80545377)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | モダニズム / プリントカルチャー / リトルマガジン / 写真 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は①モダニズム文学を芸術至上主義的孤高の文学としてとらえる見方を脱し、英米モダニズム文学と出版社の販売戦略との密接な関連を明らかにする②英米モダニズム作品の出版過程などに注目することで、大戦間に環大西洋プリント・カルチャーが生成していく過程を具体的に明らかにする、の2点であった。3年間の共同研究を経て、①については十分に達成し、②についても一定の具体例を明らかにし、全体像に至る目途はつけることができた。 まず研究代表者金澤は、英米モダニズム文学を代表する作家ジェイムス・ジョイスとウィリアム・フォークナーとアメリカの出版社ランダムハウス社の関係を調査し、モダニズム文学の大衆化に出版社が果たした大きな役割を明らかにすると同時に、モダニズム文学という制度が作家と出版社の経済的・戦略的共生関係に基づいていることを示した。 研究分担者出口は、モダニズム文学と英米リトルマガジンの関係を調査し、リトルマガジンが大戦間期における文学伝統の見直しの場として機能することで、モダニズムの発展に重要な役割を果たしたことを確認するとともに、リトルマガジンと深い関係を持つT.S.エリオットが『荒地』において戦略的に大西洋を横断した文化圏を形成しようとしたことを明らかにした。 研究分担者山本は、ジェイムズ・エイジーなどのモダニスト作家とウォーカー・エヴァンズら写真家との関係を調査し、写真とモダニズム・テキストの共生が生み出した新しいプリントカルチャーの意義および雑誌メディアの販売戦略とモダニズム文学との間に存在した緊張関係を明らかにした。
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